「キャリア教育」は職業教育と学校教育のニーズが交差する領域であるが,近年はとりわけ「働くための準備教育」という意味合いが強い。しかし,果たして大学のキャリア教育は,労働市場を念頭においた職業準備教育だけでよいのだろうか? 近年,北米や欧州を中心に「社会正義(social justice)」あるいは「社会的公正(social equity)」を志向するキャリア教育への関心が高まっている。本研究では,我が国のキャリア教育が「職業教育主義」に偏っていることを反省的に振り返りながら,いくつかのデータをもとに探索的分析を行い,「社会正義」を志向する新たなキャリア教育の方向性を検討する。
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