研究課題/領域番号 |
19K21799
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
中島 千惠 京都文教大学, こども教育学部, 教授 (20309107)
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研究分担者 |
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
杉本 均 京都大学, 教育学研究科, 教授 (50211983)
石川 裕之 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (30512016)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (40280515)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 公教育 / ホームスクーリング / 教育の多様化 / インターネット |
研究実績の概要 |
2022年も続くコロナ禍のため、シンガポールを除き海外調査は実施できなかった。現地における学校や実践の実態を知るため、インターネットに投稿されているホームスクーラーの声に耳目を傾けた。想像以上に多くの家庭における実践の様子や当事者の多様な考え方、多様な支援組織の存在や実態などを学ぶことができた。その成果はまず学会で発表し(6月24日、日本比較教育学会ラウンドテーブル)、その後、更に内容を充実させて『公教育の次の段階の模索;共通の基盤形成に向けて-:ホームスクーラーは自分たちをどのように発信しているか』として報告書にまとめた。 成果と示唆:1)ホームスクーリングを選ぶに至るプロセスや理由、何を成果と考えているか、公立学校との関係などを視点として質的調査ができた。理由が多様化する実態を把握できた。2)ホームスクーラーはインターネットを介して国内はもちろん、世界中のホームスクーラーとネットワークを形成しており、その投稿数は膨大で、相互に支援しあっていることが分かった。3)コロナによってオンライン学習が進み、「ホームスクーリング」と「オンラインによる遠隔教育」との境が曖昧化してきている。4)当事者が適切な道を選んでいける柔軟性が公教育システムに組み入れられることの重要性。5)ホームスクーリングあるいは家庭での遠隔教育を制度化するならば、多様かつ重層的な支援体制が同時に整備される必要がある。6)インターネットの世界は変化が早くリスクもあり、限界もあったが、動画も含まれるデータの量と質から考えると今後、インターネットを活用した量的・質的研究手法を開発していく意義は大いにある。 なお、研究協力者の宮口はフルブライト生として留学し、『「最低限の義務教育」を保障する国家関与の研究―米国ホームスクール制度の諸相と構想―』と題する博士論文を完成し、東京大学から博士号を授与された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍によって当初の計画にあった海外調査が実質的に実行できない状況が続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は海外調査を実施すべく計画を立てている。昨年度からカナダを専門とする研究協力者を加え、視野を広げている。今後はインドネシア、アメリカ、カナダの調査を実施する予定である。調査の視点として、高等教育へのアクセスの有無と実態、そして教育を通した社会の統合と分断の視点からも我々の研究成果の充実を図っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はコロナ禍ラインを活用した研究活動が中心にならざるを得なかった。研究期間の延長が許可されたので、2023年度に実施できなかった海外調査を実施する予定であるため。
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