本研究の目的は,教育・保育・福祉関係者が使用できる協調運動障害のある子ども達の評価表を作成し,その評価を基にした日常生活の中で実施できる有効なアプローチを開発して普及させることであった. 2022年度は,以下のような活動を実施した.①5月16日に医療専門職及び教育・保育・福祉関係者向けに協調運動障害の評価方法とアプローチについて解説を行うホームページ(「DCDの評価とアプローチ@藪中研究室」:https://yabunaka-labo.com/)を開設した.無料会員登録者に「協調運動障害評価目録」のダウンロードと評価方法を詳しく解説した動画を公開している.2023年5月26日現在で会員数は130名である.アプローチ方法とアプローチ例に関しては,HP閲覧者全員に公開している.②京都府立井手やまぶき支援学校と協業して,教育実践として視線解析装置Tobii Nano Proを使用した評価に基づく眼球運動協調性向上を目指したアプローチの開発及び座圧測定装置BodiTrak IIを使用した評価に基づくバランスボールを用いた授業中の姿勢の改善を目指したアプローチの開発を行った.読みの難しさに関連する眼球運動の特徴を評価できるようになり,それぞれの特徴に合わせたアプローチ方法を開発中である.また,バランスボールを使用することで授業中の集中力や姿勢の保持の改善が認められたが,それぞれの子どもたちの特徴に合わせたアプローチに関しては開発途上である.③書字動作の改善を目指すアプローチの開発の基礎研究として,鉛筆の把持に関係していると考える親指と人差し指の第一関節の筋力測定装置の改良と安定した測定方法の開発を行った.測定方法が決まり来年度は成人において鉛筆の把持と手指筋力の関係を調査し,その結果を基にDCDの研究に進める予定である.
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