研究課題
意思決定を行うには、習慣的システムと目的指向的システムが、状況に応じて切り替わりながら協調的に働くことが必要である。これら情報処理システムの協調的バランスに問題が生じると、自己制御能力の低下や近視眼的意思決定に繋がる。意思決定に異常がある精神疾患に依存症がある。依存症の中でも、社会的且つ医薬学的対策が急務なものにギャンブル障害があるが、ギャンブル障害において情報処理システム間のバランス破綻に着目した報告は少ない。本研究では、意思決定システム間バランスを評価する行動試験の開発・発展と情報処理システムの解明に挑戦する。最終年度は、昨年度作成した統計解析ソフトR および確率的プログラミング言語Stanを用いた強化学習モデルに基づくパラメータ推定を行うプログラムの改良を継続した。Stanのパラメータ推定のプログラムをRに改変し、データを作り出すシミュレーションのプログラムを作成してプログラムの動作確認を行った。また、作成されたデータを用いパラメータ回復テストで推定値を確認した。さらに、弁別学習による行動データを用いてStanによるパラメータ解析をしたところ、パラメータ推定できることを確認した。現在動物データを入れ込みパラメータ推定を行っている。また、DRD2-Creラットの線条体片側のみをCRISPR/Cas9によってDRD2受容体をノックダウンさせたラットを作製した。このラットの回転行動とD2受容体作用薬による神経活動をカルシウムイメージングで測定した。その結果、CRISPR/Cas9によるノックダウン効果を確認できた(例数追加中)。今後、上記で示したプログラムを用いてパラメータ推定する予定である。
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