研究課題
深層学習技術にもとづく人工知能(AI)の急激な発展は、日常生活上の便利なツールとしての役割を超え、「実世界と仮想世界とが交錯する」 新たな時空間を生みだしつつある。仮想世界と実世界の融合を目指す研究者の関心の中心は、環境からの情報(外受容感覚)の現実感を高めることにある。しかし、身体を持つ生物であるヒトは、臓器や自律神経系など身体内部状態を知覚(内受容感覚)、予測し、それを安定・維持させるシステム(アロスタシス調整)を外受容感覚と統合しながら環境に適応している。仮想世界と実世界が融合する環境は、次世代の子どもの内受容感覚および感情の発達にどのような影響を与えるのだろうか。本研究の目的は、こうした議論を深める足場となる科学的エビデンスを示すことであった。本研究では、生後1年未満のヒト乳児を対象に,対人相互作用における触覚経験を実験的に操作し、彼らの脳神経生理にどのような影響が現れるかを実証的に検討した。その結果、次の3つの結果が得られた。①他者に触れられながら他者の顔を見る経験は、乳児の脳内の顔処理(外受容感覚)および心拍誘発電位(内受容感覚)の両方に影響を与える、②①の外受容感覚処理と内受容感覚処理は独立ではなく、相互に関連がみられる、③触覚経験が外受容-内受容感覚処理に与える影響には個人差があり、月齢ではなく、安静時の心拍誘発電位(内受容感覚)の強さがその個人差に関連する。最終年度は、学会発表、論文発表の準備を行った。さらに、得られた知見を発展させ、乳幼児期の内受容感覚の個人差に応じた育児支援の開発(例:親側の身体感覚や精神機能特性を考慮した親子セットでの支援法など)に向けた議論を行い、次の研究計画を立案した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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https://myowa.educ.kyoto-u.ac.jp/