研究課題/領域番号 |
19K21821
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
工藤 恵理子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (50234448)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 仮想現実 / 自己概念 / 自己呈示 |
研究実績の概要 |
バーチャルリアリティを経験することができる機会は近年急速に拡大している。本研究では、バーチャルリアリティの中で自分が別の人間として存在したり、行動することが、私たちの自己概念にどのような影響を与えるのかを検討する。そのために、初年度は主に以下を進めた。 (1)関連する研究の整理とレビューを行った。自己概念に関連のある研究だけでなく、応用分野の研究も含めた。特にヘッドマウントディスプレイを用いたバーチャルリアリティでの体験が他者に対する視点取得の効果を促進するのか、という点について検討している研究からは、バーチャルリアリティによる体験が必ずしも共感を強めるわけではない場合もあり、その調整変数を探る必要があることがわかった。 (2)国内外でバーチャルリアリティを用いた関連研究を実施している研究者との情報交換、情報収集をおこなった。 (3)基礎的な実験環境の構築を行った。ヘッドマウントディスプレイを360度ビデオカメラを用い、バーチャル環境における自己認知の基礎的な実験をすべく、バーチャルリアリティ空間内で実際の自分の身体とは異なる位置に自分の視点を置いた場合の自己認知について検討する実験の準備を行った。視点の高さを変化させることで自分の身体の大きさの認知が変容し、自己認知の変化につながるかを検討する計画であった。この実験の実施を年度末に計画していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で実施に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2月以降に予備的な実験を実施する計画であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、実験を実施することができなかった。また、研究計画段階で使用することを予定していた装置(トラッキングセンサ)が突然販売中止となり、入手できなくなった。類似の製品を使用すること検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
予備的な実験については、可能な状況になり次第実施する予定であるが、現在の新型コロナウィルス感染の状況を踏まえると、本格的な実験実施時期については慎重になる必要があると考えている。特に、ヘッドマウントディスプレイをつけての実験の実施に際しては、これまで使用してきたカバー(装着の際にヘッドマウントディスプレイに直接顔面が触れないようにするもの)に加えて十分な対策を講じる必要がある。この点については、ヘッドマウントディスプレイを用いた研究を行っている他大学の研究室においてどのような運用がなされるのか、情報収集をして実行可能な方法を探っていく予定である。 状況によっては、当面は予備的な実験を複数進め、状況が好転した後に実験が実施できるようにしておくことも考えられる。 申請書を作成していた時点で使用することを計画していた装置の1つ(トラッキングセンサ)が突然販売中止となり、入手できなくなった。類似の製品の利用を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初初年度にVR用のPC等を購入する予定であった。研究開始時に使用していたPCのスペックが不十分であることが判明し、新規購入するPCの選定を慎重に行うこととした。VR空間での2者の相互作用場面を実験の中に設定することを想定していたため、2つの同等のPCが必要となる。そのため実験実施計画を詰めてから適切なスペックの機種を選定する計画であったが、その確認のための予備実験の実施が遅れているため。また、購入を予定していたトラッキングセンサが販売中止となり、代替機種の選定が必要になったため。予備実験をできるだけ早い時期に実施し、PCを選定する計画である。
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