研究実績の概要 |
マグニチュードは「距離空間の実質的な点の個数」という位置づけでLeinsterによって導入され、マグニチュードホモロジーはその圏化であるとされている。 マグニチュードホモロジーとポセットの順序複体を関連付ける研究に関する研究論文が国際誌にアクセプトされた。 以前から, 都市工学における公共施設の最適数や配置問題とマグニチュードが直接関係するだろうという予想を持っていた. 同僚の正宗氏の仲介で, 都市工学の専門家である大津晶氏 (小樽商科大) と腰塚武志氏 (筑波大学名誉教授)にマグニチュードの概念の紹介をし, 専門家の意見を聞く機会を得た. 都市工学においてかつて、エントロピーなどの熱力学的な概念を積極的に取り入れていた時期 (数十年前)があり, その頃の研究と関係が深そうということであった. 代わりに都市における曜日ごとの人口動態の定式化などに使えないか? との提案をいただいた. その方向で研究を進めるのは、調査と準備が必要で、本格的に研究を始めるには至っていないが、コロナウイルスの感染者数の曜日ごとのパターンなどがニュースとして取り上げられらるようになるなど、応用上も重要性が感じられ、今後の課題としたい。生物進化や生態ネットワークへの応用を探りつつ調査を継続している。 発散級数の総和法の一つにBorel和という概念がある。Leinster, Meckesらによって考察されている、有限正定値距離空間に関しては、マグニチュードホモロジーのランクからボレル和を使ってマグニチュードが得られることが分かった。 マグニチュードそのものではないが、数え上げ問題のある種の圏化として、学生の吉田氏とポセット間の射の空間の位相を調べる研究を行った。
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