Bultinck-Mariena-Williamson-Sahinoglu-Haegeman-Verstraete の最近の結果の数学的構造と,部分因子環論における対称双ユニタリ平坦接続およびチューブ代数の数学的構造が同一であることを証明した.より詳しくは,有限指数,深さ有限の部分因子環から生じる対称双ユニタリ平坦接続が,彼らの扱っているテンソルのすべての条件を満たすこと及び,それから生じるチューブ代数と彼らのテンソルから生じるエニオン代数が同型であることを示した.彼らは射影行列積作用素と呼ばれる射影作用素を考えた.我々は長さ k のこの射影作用素の値域が,対称双ユニタリ平坦接続の生み出す部分因子環の k 次の高次相対可換子環に一致することを示した. 組紐フュージョン圏上でのある種の誘導表現の理論である,α誘導表現について,対称双ユニタリ平坦接続の立場から研究を 行った.α誘導表現は組紐フュージョン圏内の (可換とは限らない) Frobenius 代数の定めるテンソル関手である. これはこれまではIII型因子環の自己準同型の延長という形で研究されてきた. 一方,対称双ユニタリ平坦接続と呼ばれるユニタリ行列の族を使ってフュージョン圏が記述できることも,作用素環論における部分因子環論でよく知られている.そこで,対称双ユニタリ平坦接続によって記述された組紐フュージョン圏上で α誘導表現がどのように記述されるかを明らかにした.その中で,Frobenius 代数が可換の場合には,α誘導表現によって生じる対称双ユニタリ平坦接続が平坦になることも証明した.
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