研究課題
スカーミオンとは連続場中のトポロジカル欠陥であり、歴史的には非線形古典場の理論にその端を発する。2009年にカイラル磁性体MnSiのスピンテクスチャーとして観測されるに至り磁性物理学の中心的課題の一つとなった。磁気スカーミオンはトポロジカル保護という特異な性質を持つため、その生成や消滅の 起原から情報伝達応用までの広い範囲で大きな注目を集め、現在精力的に研究が進められている。これまでの研究から磁気スカーミオンは長周期磁気構造を基底状態にもつ種々の磁性体において有限磁場・有限温度で形成されることがわかっており、熱揺らぎにより形成するトポロジカルスピン構造であると理解されている。一方で、量子磁性体中においては従来型の熱力学的な磁気スカーミオンとは異なる量子力学的準粒子としてのスカーミオンを考えることができる。2022年度ではスカーミオンに関する2つの成果を得ることができた。一つは従来型と考えられる Cu2OSeO3 磁気スカーミオン格子に関するものであり、この系のスカーミオン歪みの磁場および温度依存性を実験およびシミュレーションの両面から詳細に解明した。この結果はスカーミオン格子相における高調波変調の解明という大きな意義を持つ。また、2022年度に行った中性子実験では、量子スピン系と考えられるYb-Ru-Al系に関して、残留磁場等の影響を抑えたより精度の高い実験を実施した。この結果、無磁場最低温でのdouble-Q構造の確認、および面内磁場下でのtriple-Q構造の発見という極めて興味深い実験結果を得た。これら以外にも量子スカーミオン探索を目的として種々の六方晶Yb化合物や準結晶近似結晶等の研究を行い成果を得た。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
Journal of Physics: Conference Series
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