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2020 年度 実施状況報告書

細胞を赤外線で操るためのチャネルロドプシンの創製

研究課題

研究課題/領域番号 19K21848
研究機関京都大学

研究代表者

今元 泰  京都大学, 理学研究科, 准教授 (80263200)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードロドプシン / レチナールアナログ / 脱分極 / オプトジェネティクス / 膜電位 / 光反応サイクル / 共役二重結合系
研究実績の概要

本計画では、赤外線LEDで細胞を操作することを目的として、近赤外光で駆動するチャネルロドプシンの創製を目指している。2019年度には、長波長シフトしたチャネルロドプシンのバリアントであるChrimsonRやReaChRに共役二重結合系を延長したレチナールアナログを発色団として導入することで、天然に存在するチャネルロドプシンよりも長波長シフトしたチャネルロドプシンを創生することを試みた。2020年度は、効率よく色素が生成したReaChRアナログの光反応サイクルを、時分割紫外可視分光によって詳細に検討した。A1レチナールのポリエン鎖に二重結合を追加したレチナールアナログを発色団とするReaChRアナログでは、追加する位置に関わらず光反応サイクルを示した。一方、A2レチナールのポリエン鎖に二重結合を追加したレチナールアナログを発色団とするReaChRアナログでは、光反応の効率が追加する位置によって大きく異なることがわかった。デヒドロβイオノン環と9-メチル基の間、あるいは9メチル基と13メチル基との間に二重結合を追加した場合には、吸収スペクトルの長波長シフトは大きかったが、光反応の効率は著しく低下していた。一方、13メチル基とシッフ塩基結合との間に二重結合を追加した場合には、吸収スペクトルの長波長シフトはやや小さかったが、通常のA1レチナールを発色団とするReaChRと同等の光反応の効率を示した。ReaChRでは、M中間体とN中間体がイオン透過状態であると考えられているが、このReaChRアナログでもM中間体に相当する中間体の生成が確認できた。次年度は電気生理学的手法によって、細胞中での膜電位の変化を誘導できるかを検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度には、共役二重結合系を延長したレチナールアナログをReaChRやChrimsonRに導入することに成功した。2020年度には光反応サイクルを解析し、作成したReaChRアナログの中にイオン透過が可能であると期待されるものを見出すことができた。2021年度は電気生理学的手法によって膜電位の変化を測定する予定である。

今後の研究の推進方策

レチナールアナログを発色団とするReaChRが実際にチャネル活性を持つかどうかを電気生理学的に解析する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症対策のため、予定していた国際学会・国内学会が中止やオンライン開催となった。また、他大学との研究打ち合わせのための出張を取りやめオンライン会議などで対応した。以上のことから旅費が不要となったことが主な原因である。次年度では消耗品の購入にあてる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Rapid Oxidation Following Photoreduction in the Avian Cryptochrome4 Photocycle2020

    • 著者名/発表者名
      Otsuka Hiroaki、Mitsui Hiromasa、Miura Kota、Okano Keiko、Imamoto Yasushi、Okano Toshiyuki
    • 雑誌名

      Biochemistry

      巻: 59 ページ: 3615~3625

    • DOI

      10.1021/acs.biochem.0c00495

    • 査読あり
  • [学会発表] 共役二重結合系を延長したレチナールアナログによる赤色感受性チャネルロドプシンの更なる長波長シフト2020

    • 著者名/発表者名
      今元 泰
    • 学会等名
      日本生物物理学会

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公開日: 2021-12-27  

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