研究課題/領域番号 |
19K21853
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡部 行男 九州大学, 理学研究院, 教授 (40274550)
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研究分担者 |
藤澤 浩訓 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30285340)
佐藤 琢哉 東京工業大学, 理学院, 教授 (40451885) [辞退]
横田 紘子 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (50608742)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 強誘電体 / 分域 / 近接効果 / SHG |
研究実績の概要 |
本年度は、1. 九大における共焦点サブミクロン空間分解能の2次高調波(SHG)測定システムの各部分の試験とそれを用いた設計の完成、2.これら一式とソフト/PCを共同研究者(千葉大学横田研)に送り、そこで、組み上げ(部品の連結)とシステムとしての動作試験と初期データの取得 3.九大で本課題の原理を、電位分布と伝導測定で解析し理論計算を行った。4.また、この表面形状を、化学的に原子層レベルに平坦化する検討を、兵庫県立大藤澤研で行った。
1.の各要素の検討では、九大で、共同研究者の設計を再検討し変えた。即ち、横田研方式では干渉での参照SHG偏光と強度の制御が困難なため、創始者早稲田大学上江洲教授の最初の方式[LiNbO3単結晶で位相整合角度にして回転]を検討した。さらに、机上でKTPとBBOを用いる方式、また、広帯域偏光子減衰素子を用いる方式を考案し検討した。この結果、LiTaO3のQPM (Quasi phase matching)とフレネルロム素子を使って干渉させる方式を九大で考案し、この方式を用いることにした。このSHGシステムに用いた全品とソフトは千葉大に送り、長期貸し出し等を行い全て移管した。 2. 千葉大学横田研で、九大から送ったlaserやロックインが故障したため、まず、これを修理し、凡そ3カ月の遅れがでた。また、九大で光路とそのジグの設計に不十分な点が見つかり、再設計した。これらの後、2次高調波が見えるようになった。さらに、XYZ方向の走査での2次高調波分布測定により分域が見えるようになった。 3.の電気伝導と原子間力顕微鏡を組み合わせたところ、表面の電子の挙動が、九大渡部の理論(PRB1998,PRL2001)に合うことが分かったため、論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定システムがほぼできたため、本測定を行うため、千葉大に出張しようとしたが、ウィールス感染(COVID)による蔓延防止措置等で、出張できなくなり、予定した実験ができなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
課題の原理の解析のための伝導測定と理論計算の論文を発表する。さらに、伝導測定と原子間力顕微鏡による解析を追加する。 ウィールス感染の危険性が少くなり次第、千葉大に出張し本申請で組み上げた装置で、サブミクロン空間分解能の2次高調波分布を測定し、本課題の現象の3次元分布を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染拡大により、予定していた千葉大学へ出張して行う2次高調波分布の測定実験ができなかった。このために、千葉大学への出張費として温存していた助成金が残った。 コロナウィルス感染は、2022年夏頃には収まると考え、期間延長を申請して、2022年度に、千葉大学へ出張して行う計画に変更した。この申請は承認され、翌年度分として請求した助成金は、この出張費として用いる。
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