研究課題
本研究は、核融合炉における放射性廃棄物の排出を大幅に低減する目的で、最も頻繁に交換が必要な「ダイバータ」という受熱機器の、機能再生、再利用の見通しを明らかにすることを目的とする。熱負荷の結果形成した亀裂によって熱除去能力の劣化したダイバータの回復、再生利用の見通しを得るため、試験体の設計製作、熱負荷試験と試験による除熱特性劣化の評価、加圧再生用の高温静水圧プレス(HIP)試験手法の開発、などを行う。令和2年度に製作した、低放射化フェライト鋼(JLF-1)とタングステン(W)を純銅中間材を用いて接合した平板試験体に対し、熱負荷試験装置ACT2で実機規模の熱負荷を繰り返し与えた。この試験体は2.8 MW/m2、100サイクルの試験でも顕著な熱特性の劣化や亀裂発生は見られなかったが、JLF-1の利用限界温度である550℃を超える温度に到達した約 6 MW/m2、100サイクルの熱負荷実験ではW部の接合界面近傍に亀裂が見られた。熱負荷で形成したW材中の亀裂について微細組織観察を行い、亀裂を熱間等方加圧法により修復するためには「閉鎖系」が必要であるとことが明らかになった。この閉鎖系の構築は、熱間等方加圧下において、コンポーネントの内部にある中空構造を破壊することなく、導入された亀裂のみを押しつぶそうという画期的な発案である。このための閉鎖系として、「タングステンめっき」を採用した。このめっきで覆われた表面が熱間等方加圧を負荷させるための皮の役割となり、高圧ガスで亀裂空間を押しつぶすことができると期待される。このための試作めっきを行った結果、成膜には成功したものの、めっき電析前後の質量変化から評価される成膜効率が非常に低いという結果が得られた。これは、検討の結果、めっき時の不純物が影響している可能性が高いことが分かった。今後はこの不純物低減による電流効率向上を目標とした研究を継続する。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Nuclear Fusion
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