研究課題
本研究の目的は、宇宙誕生直後のインフレーション時に生成された原始重力波を地上において検出するための全く新しい手法を開発することである。その方法としては、以前に研究代表者らが考案した変位雑音キャンセル法に、中性子干渉計を組み合わせて、低周波帯において感度を著しく改善することが可能であるかどうかを理論的・実験的に見極める事である。2021年度は、理論面では、大小2つのマッハツェンダー干渉計に異なる速度をもつ2群の中性子を両側から入射することによって得られる変位雑音フリーの重力波信号の特性について詳細な検討を行い、その結果を論文として投稿した。また、単一のマッハツェンダー干渉計に、異なる速度をもつ2群の中性子を両側から入射することによって得られる変位雑音フリーの重力波信号の特性についても詳細な検討を行い、その結果を論文として投稿した。また、単一のマッハツェンダー干渉計に、異なる速度をもつ4群の中性子を片側から入射することによっても変位雑音フリーな重力波信号が得られることを示した。実験面では、引き続き変位雑音フリー中性子干渉計の原理実証実験の設計を行った。原子力研究所(J-PARC)のビームラインにおいて実績のある中性子スピン干渉計で使われていた一体型の鏡/ビームスプリッターを用いた設計を行った。アクチュエーターとしてはアルミ板の角度を1 kHzで振動させることにより、鏡やビームスプリッターの変位雑音や重力波の模擬信号を作ることで原理検証実験が可能であることを示した。また、アルミ板ピエゾシステムの応力特性も検討した。
3: やや遅れている
理論的な研究は論文を2本投稿するなど順調に進んでいる。しかし、実験面では、アルミ板ピエゾシステムの設計に時間がかかっており、製作に遅れが生じている。
アルミ板ピエゾシステムの設計を完成させ、それを製作する。そして、J-PARCにて実験を行い、データ解析を行う。
アルミ板ピエゾシステムの製作が送れているため。次年度はアルミ板ピエゾシステムの設計と製作を完了させる。また、J-PARCへ出張して実験を行う。
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