中性子の物質表面における全反射は、熱中性子や冷中性子あるいはそれよりも低速の中性子の光学的制御に用いられ、中性子利用効率の大幅な向上に寄与している。大強度スパレーション中性子源の稼働により熱外中性子ビームの本格的利用が進んでおり、熱外中性子の全反射光学の実用化が望まれる。本研究では、J-PARC MLFにおいて、単結晶シリコンによる中性子回折を用いて77meVから695meVのエネルギー範囲の平行中性子ビームを用意し、多層膜中性子ミラーによる鏡面反射を実測した。これによって、中性子全反射光学系の適用範囲は、500meVを超えて、近熱外中性子領域に拡張された。
|