外径2 inch、厚み5 mmの熱遮断光学窓を製作した。業者と議論を重ね、分光設計シミュレーションを実施して、中心波長がHe-Neレーザー633 nm、半値幅が80 nm以下のバンドパスフィルターの実現を検討した。それ以外の可視・赤外線波長帯(波長10ミクロンまで)の阻止能を0.1%以下に設定し、より長い波長の遠赤外線帯の阻止能をできるだけ高くするために溶融石英を基板に使う設計とした。金属膜として、AgタイプとAlタイプの異なる2種類のものを最終的に選択し、これらを使用した2種類のフィルターの製作を完了した。Agは光学性能が相対的に優れていることが期待されるが、長期信頼性に若干の懸念がある。一方、Alタイプはアルミの吸収のため透過率性能が相対的に劣ることが予想されるが、長期信頼性・耐久性に関しては優れていることが分かっている。今後は、これらの熱遮断光学窓を極低温チャンバーに設置して、低温10 Kにおいてバンドパスフィルターとしての性能評価を行う予定である。
並行して、CGH(Computer-Generated Hologram)干渉計による非球面鏡の低温面形状変形測定のための光学アラインメント調整の技術開発を進めた。極低温チャンバーに軸外し放物面鏡を設置して冷却し、チャンバー外側に配置した干渉計からのHe-Neレーザー光をチャンバー内に導入して面形状測定を行う。そのための治具の製作やアラインメント手順の検討などを実施した。まずは光学窓が無い従来のセットアップで測定を実施し、その後、上述の熱遮断光学窓を10 Kのシュラウドに取り付けて、面形状測定を行う予定である。
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