本研究では、「水の流れが断層の強度回復(断層シール効果)を抑制する」という仮説の検証を、流速環境を再現する摩擦実験システムによって検証することを試みた。すべり-固着-すべりを繰り返す実験手法(フローSHS試験)をまず確立し、その手法を用いた粉砕砂岩の実験から、(1)流速の上昇に伴って見かけの断層強度の回復は妨げられること、(2)有効垂直応力を考慮した有効摩擦強度の回復挙動は流速に依存しないことがわかった。自然界の水の流れがある環境での断層強度回復を予測するためには、間震期における断層帯の水理特性の変動把握が重要であることが明らかとなった。
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