最終年度となる2023年度には、陸上および海域での試験の実施のために必要な、超小型海底地震計4式の製造を行った。本年度の製造に当たって、超小型海底地震計内に収納される過年度に製造していた観測処理ボードの基板改良再設計を行うとともに、新たに製造をおこなった。また、2023年度には、同じく超小型海底地震計に収納され、観測処理ボードに給電、通信を行うための電池電源ボードの新規設計と製造、近傍に設置した超小型海底地震計や無人探査機との可視光通信を行うための光通信ボードの2022年度の試験結果を踏まえた改良再設計を行った。また、3成分のジオフォンを超小型海底地震計内に収納し水平をとるためのジンバル機構の設計を行い、3Dプリンターを用いて製造した。 また、過年度に設計製作を行った超小型海底地震計用観測処理ボードを用いて、Paroscientific 水圧計のデータを長期間取得できるように製作した海底水圧観測装置を伊豆大島沖に2021年7月より設置していたが、海底設置した海底水圧観測装置から2年半の連続記録を回収することに2023年2月に成功した。これにより、超小型海底地震計の観測処理ボードとソフトウェアの長期動作信頼性に関する評価を行うことができた。 以上、本研究により超小型海底地震計の開発を実施した。その構成は、リチウムイオン充電池(電池電源ボード)、3成分ジオフォン、水平維持のためのジンバル、観測処理ボード、可視光通信のための光通信ボードを13インチ耐圧ガラス球内に搭載し(4000m耐圧)、深海底にアレイ設置することで、地震・水温および水圧(センサー接続の場合)のアレイ観測が行え、水温可視光通信によりアレイの時刻同期、観測起動、停止が行えるものとなった。
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