研究課題/領域番号 |
19K21923
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
きゅう 建輝 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (40244511)
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研究分担者 |
伊藤 一志 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (30507116)
境 英一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (70581289)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | ハイドロゲル |
研究実績の概要 |
本研究では三次元網目構造を有する高強度のゲルを作製し、さらに加熱乾燥により水素再結合を起こさせ、配向度を自由に制御できる網目構造の疑似生体組織のバイオマテリアルを開発する。作製したゲルに対し、①三次元網目構造におけるセルロース誘導体の役割、②異なる条件下におけるゲルの力学特性に及ぼす水素再結合の影響、③ゲルの生物適合性と生物学的足場材料への応用について検討する。これにより、異方性を活かした様々な内部構造と力学特性を有するハイドロゲルの最適な創製条件を明らかにするとともに、バイオセンサ、生物学、組織工学などの新たな学術分野を開拓するために重要な材料創出理論を提供する。 本年度は、PVA/ポリアクリル酸(PAA)を用いて可視光を利用した簡便な重合と塩の含浸により、強靭な二重架橋ヒドロゲル(DC-Gel)を作製した。このイオン性DC-ゲルは,高い靭性(最大19 MJ/m3)、回復特性、自己修復能力、導電性を備えていることが確認された。イオン性DC-ゲルのゴムのような柔軟なネットワークと均質な相互接続相は、走査型電子顕微鏡と熱力学的分析によって証明された。イオン性DC-ゲルの引張強度と破断伸度は、アクリル酸(AA)の含有量に密接に依存していた。繰り返し引張試験の結果、アクリル酸の含有量を最適化したイオン性DCゲル(PVA:AA=1:5)は、機械的特性と回復可能なエネルギー散逸性が良好であり、150%のひずみでのハイドロゲルの反発力と応力は、それぞれ85%と1.8MPaを維持していた。イオン性DCハイドロゲルをひずみセンサーの組み立てに応用した場合、その優れた反発力は、ハイドロゲルベースのセンサーの変形を正確かつ迅速に識別するのに有益である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は令和元年度に引き続き、ゲルの創製方法を重点的に検討した。結果として昨年度よりも非常に優れたゲルの創製方法を提案できたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、外部機関でやるしかなかった実験ができなくなり、思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、ゲルの創製方法をさらに検討し、非常に優れた特性を示すゲルの開発に成功した。次年度はこの方法を応用し、加熱乾燥により水素再結合を起こさせ、配向度を自由に制御できる網目構造の疑似生体組織のバイオマテリアルを開発する。作製したゲルに対し、①三次元網目構造におけるセルロース誘導体の役割、②異なる条件下におけるゲルの力学特性に及ぼす水素再結合の影響、③ゲルの生物適合性と生物学的足場材料への応用について検討する。これにより、異方性を活かした様々な内部構造と力学特性を有するハイドロゲルの最適な創製条件を明らかにするとともに、バイオセンサ、生物学、組織工学などの新たな学術分野を開拓するために重要な材料創出理論を提供する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は令和元年度に引き続き、ゲルの創製方法を重点的に検討した。結果として昨年度よりも非常に優れたゲルの創製方法を提案できたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、外部機関でやるしかなかった実験ができなくなり、それに関連する費用の執行がなかった。
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