研究課題
光触媒を用いた太陽光―水分解による水素生成は,クリーンなエネルギー循環創成の基盤として期待されている.本研究では,光触媒反応に直接寄与できない長波長域の光を,光触媒上での積極的な蒸気バブルの生成と周辺対流制御に利用することで,水素生成などの様々な触媒反応の効率向上を目指した.R1年度は主に,蒸気バブルの生成及び周辺対流制御に関する原理確認を行った.太陽光によるバブルおよび対流の発生が可能であることを実証するため,ソーラーシミュレーターを用いた実験を行った.その結果,擬似太陽光を光熱変換薄膜に照射することで蒸気ジャイアントバブルを発生し,壁面近傍で数十mm/s以上の流速を実現することに成功した.また,最も流れが早い部分では,流速がm/sオーダーになる可能性も示唆された.R2年度には,バブルの生成条件などの詳しい検証を行った.その結果,単位面積あたりの光の強さが0.5 mW/μm2前後の時に,断続的な水蒸気ジャイアントバブルの生成が見られることがわかった.さらに,温度で色が変化する酸化バナジウム薄膜を利用して,光熱変換によって生じるバブル周辺の温度上昇の様子を明らかにした.その結果,バブル表面の一部を約70度以上に加熱した場合に,強い対流が発生することが示唆された.最終年度には,バブル周辺の流れの向きの制御およびバブルを用いた流体攪拌性能の評価を行った.光の照射パターンを詳細に制御しなくても,光の吸収体の形を最適化することで,所望のバブル生成位置および周辺温度分布を得られることがわかった.そして,物体表面に平行な方向に強い対流を生むことに成功した.また流体攪拌性能の評価においては,特にマイクロ流路中の流体を短時間で攪拌し,分解したい物を遠くまで輸送できることがわかった.以上の通り,バブルを用いた流体攪拌による反応効率向上の原理確認に成功した.
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Advanced Materials Interfaces
巻: - ページ: 2200200~2200200
10.1002/admi.202200200
https://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/j/uZ7qY
http://www.mpe.me.kyoto-u.ac.jp