研究課題/領域番号 |
19K21941
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
小泉 憲裕 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10396765)
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研究分担者 |
岡田 英孝 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20303018)
東郷 俊太 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (30751523)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 医療のデジタル化 / 医デジ化 / Me-DigIT / モーションキャプチャ / 体内臓器系モーションキャプチャ / 医療・バイオ用ロボットビジョン技術 |
研究実績の概要 |
本研究では従来型の人体の筋骨格系のモーションキャプチャに加えて、超音波技術および人工知能・IoT・ロボット技術の融合により、把持・歩行運動中の体内臓器系の挙動を体表を傷つけることなく非侵襲に観察する、言わば『体内臓器系のモーションキャプチャ・システム』の構築法を確立することを目的とする。これにより、これまでは不可能であった人体の筋骨格系および体内臓器系の統合的な動力学的解析・理解を可能とする、全く新しいロボット運動学の分野を開拓することが可能となり、人体の鏡像としてのロボット学の基盤になりうるものと期待している。 体内臓器系の挙動を観察する医療・バイオ用ロボットビジョン技術については近年,深層学習をはじめとする機械学習による画像処理の分野で画期的なブレークスルーがあった。これを踏まえてわれわれの研究グループも深層学習を包含した医療・バイオ用ロボットビジョン技術に関する研究に着手、その成果もきわめて順調に積み重ねている。また、プローブと患部の接触安定性が体内臓器系の挙動を抽出・モニタリングする際に与える影響についても解明した。超音波画像を適正化するためにはプローブの位置・姿勢・接触力を適正化する必要がある。 特筆すべき成果として泌尿器画像診断・治療技術研究会(JSURT)最優秀演題賞受賞、第25回ロボティクスシンポジア(RS)学生奨励賞受賞、医学および工学分野の一流国際誌への掲載(International Journal of Hyperthermia、ROBOMECH Journal)、医療ロボティクスのトップカンファレンス等への採択(CARS、CBS)、国際ロボット展(iREX)への出展、日刊工業新聞への掲載など,体内臓器の挙動を観察する医療・バイオ用ロボットビジョン技術のパイオニアかつ中核的な存在として国内外からきわめて高い注目を集めてきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の目的は,呼吸や拍動によって互いに相互作用しながら変形・回転をともなって運動する体内臓器系(対象:心臓・肝臓・腎臓・筋肉等)を対象として,超音波技術、人工知能・IoT・ロボット技術を基盤として,身体装着型ロボティック・モニタリング装置の構築法を確立することであり,研究期間内に,把持・歩行運動時においても精度を落とすことなく頑健に体内臓器の挙動を観察するシステムを実現するとともに,これを用いて人の歩行運動時の人体の骨格および内臓・筋肉の統合的な動力学的解析を行なうことであった。 これを踏まえて今年度はまず、体内臓器系の挙動を抽出・モニタリングするための医療・バイオ用ロボットビジョン技術に関する基盤システムを構築した。また、プローブと患部の接触安定性が体内臓器系の挙動を抽出・モニタリングする際に与える影響についても解明した。超音波画像を適正化するためにはプローブの位置・姿勢・接触力を適正化する必要がある。 特筆すべき成果として、泌尿器画像診断・治療技術研究会(JSURT2019)最優秀演題賞受賞、第25回ロボティクスシンポジア(RS2019)学生奨励賞受賞が挙げられる。ほかにも医学および工学分野の一流国際誌への掲載(International Journal of Hyperthermia、ROBOMECH Journal)、医療ロボティクスのトップカンファレンス等への採択・成果発表(CARS2019および2020、IEEE CBS2019)、国際ロボット展(iREX2019)への出展、日刊工業新聞への掲載などが挙げられ、体内臓器の挙動を観察する医療・バイオ用ロボットビジョン技術のパイオニアかつ中核的な存在として我々の一連の研究は国内外からきわめて高い注目を集めてきている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的は、呼吸や拍動によって互いに相互作用しながら変形・回転をともなって運動する体内臓器系(対象:心臓・肝臓・腎臓・筋肉等)を対象に超音波技術および人工知能・IoT・ロボット技術を基盤として身体装着型ロボティック・モニタリング装置の構築法を確立することであり、研究期間内に把持・歩行運動時においても精度を落とすことなく頑健に体内臓器の挙動を観察できるシステムを実現するとともに、これを用いて人の歩行運動時の人体の骨格および内臓・筋肉の統合的な動力学的解析を行なう。 この研究目的を達成するために、下記の3つのサブ課題を順次遂行することで研究を遂行する。(サブ課題 I) 体内臓器モニタリングのためのプローブ走査モデルの開発、(サブ課題 II) 身体装着型ロボティック・モニタリング装置の機構・制御の開発、(サブ課題 III) 把持・歩行運動中の体内臓器の観察・動力学的解析。 このうち、当該年度は(サブ課題 I)に加えて、(サブ課題 II)および(サブ課題 III)を含めて課題を遂行する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は(サブ課題 I) 体内臓器モニタリングのためのプローブ走査モデルの開発研究において新規の知見をもたらす大きな進展が得られ、これを踏まえて(サブ課題 I) に関するさらなる深堀り研究が新規に生じたため、ソフトウェアに関する研究が中心となり、次年度使用額が生じた。今後、次年度使用額および翌年度分として請求した助成金とを合わせて(サブ課題 I)に加えて(サブ課題 II) 身体装着型ロボティック・モニタリング装置の機構・制御の開発、(サブ課題 III) 把持・歩行運動中の体内臓器の観察・動力学的解析研究を遂行してゆくのにともない、ハードウェアを含めて順次予算を執行してゆく計画である。
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