研究課題/領域番号 |
19K21944
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 泰久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70303675)
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研究分担者 |
竹内 大 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (20713374)
青山 忠義 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00569337)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 生体内埋込装置 / フレキシブルマイクロ電極 / 多チャンネル電気刺激 / 機能的電気刺激 / 運動機能再建 |
研究実績の概要 |
本研究では、複数の末梢神経に対し選択的に電気刺激を行うことで、複数の筋収縮を誘発し、機能的な運動を再建可能なマイクロデバイスの創製を目的としている。この目的を達成するため、無線給電による体内への完全埋め込みと、生体適合性を有するフレキシブルな神経刺激電極の作製について、現在主に研究を行なっている。本年度は、2チャンネルの末梢神経刺激デバイスを作製し、ラットの脛骨・腓骨神経への選択的刺激によるラット足関節の底背屈運動を誘発し、その制御を行なった。特に、安定した筋収縮を実現するために、神経刺激の周波数および刺激パルス時間について調整を行うことができるようデバイスを改良し、目的とする筋肉のみを安定的に収縮させることを実現した。 また、神経を刺激するためのフレキシブルな微細電極についても複数の試作を行い、高い伸縮性能を有するシリコン材料と医療用の細径ステンレスワイヤを用いたフレキシブルな電極によって、ラットの脛骨・腓骨神経への安定した電気刺激を実現した。さらに、高速カメラを用いた制御システムを構築し、現在の足関節角度をラット後肢に設置したマーカーから検出すると共に、目標とする足関節角度についてもマーカーにより指定し、ビジュアルフィードバック制御によるラット足関節の底背屈運動の制御を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に神経刺激デバイスの改良及び神経刺激用のフレキシブル電極の作製について研究を行い、これまでに研究計画に沿った進展を得ている。 神経刺激デバイスについては、体内への完全埋め込みを目指した無線給電による電力供給を実現しており、本年度は特に神経刺激信号について検討を行なった。神経への刺激信号としては、周波数及び刺激パルスの時間が重要なパラメータであり、これらが適切でなければ目的とする筋収縮を上手く得られないことが実験的に明らかになった。そのため、刺激周波数及びパルス時間を可変とする新たな神経刺激デバイスを作製し、ラットに対する末梢神経刺激実験を行なうことで適切なパラメータ設定を行なった。その結果、ラット後肢足関節の安定した底背屈運動の誘発に成功した。また、高速カメラを用いたビジュアルフィードバック制御システムを構築し、ラット足関節の底背屈運動を制御することに成功した。 フレキシブル電極については、柔らかく、かつ四肢の運動に伴って動く末梢神経に対し、安定的な電気刺激を実現するため、高い伸縮性を有するシリコン樹脂と医療用の細径ステンレスワイヤを用いた新たな電極を作製した。また、作製した電極をラットの脛骨・腓骨神経に対して設置し、上述の神経刺激デバイスを用いて電気刺激を行なった。その結果、ラット後肢の動きに対しても安定して電気刺激を行うことができる電極を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた成果を基に、今後は多チャンネルの神経刺激による多関節の運動制御、及び長期間にわたるフレキシブル電極の体内埋め込み実験を行い、末梢神経刺激を行うマイクロデバイスを用いて歩行等の機能的運動を再建することを目指す。 多関節の運動制御については、現在実現している2チャンネル、1関節の制御技術を拡張することで、4チャンネル、2関節の運動制御を行い、機能的運動の再建を目指す。また、複数神経への同時刺激を行うことで、関節剛性を変化させ外力等に対応できるような神経刺激の実現を目指す。現在カメラを用いている関節角度の計測についても、ウエアラブルなセンサ等を用いることでカメラレスの制御システムを構築し、制御システム全体としての小型化、簡便化についても図っていく。 フレキシブル電極については、生体適合性を有する複数の材料を用いてフレキシブル電極を作製し、ラット体内の末梢神経へ設置し、長期にわたる体内留置による神経への影響及び電極自身の時間経過による特性変化について調査する。特に、電気刺激に対する筋収縮の応答、及び電気刺激可能な期間を異なる材料に対して調べることで、体内の末梢神経に留置する電極としてより適切な材料、設置方法に関する知見を得ることを目指す。
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