研究課題/領域番号 |
19K21948
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中村 太郎 中央大学, 理工学部, 教授 (50315644)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 人工筋肉 / ソフトアクチュエータ / 異方性材料 / 短繊維 / ソフトロボティクス / 空気圧 / ゴム材料 / 大変形 |
研究実績の概要 |
軸方向繊維強化型空気圧人工筋肉は, 従来のMcKibben型空気圧人工筋肉と比較して,同圧 力・形状下において4倍程度の収縮力が出力できること が実証されており,同分野では世界最高レベルの出 力を誇る革新的なソフトアクチュエータである.また応用分野も広く,パワーアシスト機器,蠕動運動型移動 ロボット,ポンプの適用等実用化に近い応用も数多く存在する.しかしながら,現在まで安定的・効率的な 製造手法が困難であったことから,製造化が大幅に遅れていた.この製造方法が困難である最大の理由が,軸方向に貫く繊維層をゴムチューブに内挿することにある. 一方でCFRP等の繊維強化材料の一部は短繊維を内包した強化手法として数多く存在する. もし,これらの構造を維持したまま短繊維をゴム中で配向できるなら,人工筋肉とのような高出力アクチュエータが開発できるのではないかと考えた 本研究では,短繊維を軸方向のみに配向させた強度異方性を有するゴムチューブ(以下:異方性ゴムチューブ)を開発し,ゴムの膨張を積極的に活用した高出力型空気圧ゴム人工筋肉アクチュエータ「短繊維補強型ゴム人工筋肉」を開発する。 昨年度は、短繊維を用いた異方性ゴムシートの開発を行い、引張試験により裂離方向と裂離垂直方向における異方性の違いを明らかにした。 本年度は、異方性ゴム(軸方向が裂離方向)をチューブ状に成型し高出力型空気圧ゴム人工筋肉に適用した。.さらに圧力印加時の収縮量・収縮力等に関する基本特性を明らかにした。その結果、本人工筋肉の内部に空気圧力を印加することによって、チューブに収縮挙動の発現が確認された。その最大収縮率は20%弱ではあった。今後、繊維長さや繊維量など、様々なパラメータを検証することで、適切な繊維濃度を確定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
短繊維を用いた異方性ゴムシートの開発を行い、引張試験により裂離方向と裂離垂直方向における異方性の違いを明らかにし、異方性ゴムをチューブ状に成型およびその基礎特性データによりアクチュエータとしての有効性を示することができたため、本プロジェクトはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、異方性ゴム(軸方向が裂離方向)をチューブ状に成型し高出力型空気圧ゴム人工筋肉に適用したが、まだ、繊維長さや繊維量などの短繊維配向にかかわる様々なパラメータについて検証されていない。 今後は、短繊維に関する様々なパラメータを振ることによって、人工筋肉の収縮性能が向上するような、適切な繊維濃度を確定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は人工筋肉の部材や短繊維の材料費等を多く使用するため、次年度使用額を生じさせることにした。
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