本研究では,短繊維を軸方向のみに配向させた強度異方性を有するゴムチューブ(以 下:異方性ゴムチューブ)を開発し,ゴムの膨張を積極的に活用した革新的ソフトアク チュエータ「短繊維補強型ゴム人工筋肉」を開発する.具体的には以下の4つの項目について明らかにする. 本年度は特に以下の点について明らかにした。 ① 短繊維を用いた異方性ゴム材料の生成方法の確立:短繊維に異方性を持たせるために、短繊維混合高粘度流体の引き延ばしによる、せん断流れを利用した生成手法を確立した。その生成手法の手順を以下にしめす。1.ゴムとトルエンを混ぜ,溶かす.2.溶かしたゴムに短繊維を混ぜる.3.混ぜたゴムを紙の上に一列に並べる.4.並べたゴムをパイプで引き伸ばす.5.120度で60分加熱し,加硫する. ②各パラメータ(含有繊維の長さや量)の 変化による基礎的特性の検討:含有短繊維濃度による基礎的な特性の変化について検討した。その結果、列理方向と直径方向の破断ひずみの差より異方性が発現していることを確認した.また,繊維含有率が上昇するとヤング率の比も上昇することを確認した.このことから繊維含有率が大きくなるほど発現する異方性も強くなることが分かった. ③ 異方性ゴムをチューブ状に成型し空気圧ソフトアクチュエータに適用:作製した短繊維配向ゴムのアクチュエータ応用への可能性や応用した際にゴムの異方性がアクチュエータへどのような影響を与えるかを明らかにするため伸長ゴム人工筋を開発した。 ④空気圧ソフトアクチュエータの基礎特性を検討:開発したアクチュエータは直径方向への膨張を最大で通常のゴム円筒の約35 %に抑え,軸方向に54 %の伸長した.この特性はゴムの異方性によりアクチュエータが駆動していることを示している,したがって,異方性を有するゴムシートのアクチュエータへの応用可能性に期待が出来る.
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