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2019 年度 実施状況報告書

負の熱膨張ゲート電極によるトランジスタへの新規ひずみ導入技術の創成

研究課題

研究課題/領域番号 19K21953
研究機関東北大学

研究代表者

木野 久志  東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10633406)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワード負熱膨張 / トランジスタ
研究実績の概要

半導体集積回路を構成するトランジスタは結晶ひずみを導入することで駆動電流の増大を図っている。本研究では負の熱膨張係数を有する材料を用いた全く新しいひずみ導入技術を創成する。
負の熱膨張係数を有する材料の加工の多くは粉砕などであり、フォトリソグラフィやRIE(Reactive Ion Etching,反応性イオンエッチング)と呼ばれるプラズマを用いて削る方法に代表される半導体微細加工技術を用いた加工例は殆どない。そこで本年度はトランジスタのゲート電極に負の熱膨張係数を有する材料を適用するための加工技術に関する研究を遂行した。
トランジスタのゲート電極は主にRIEかCMP(Chemical Mechanical Polishing,化学機械研磨)を用いたダマシンと呼ばれる方法に大別される。これらの加工方法を用いることで非常に微細な電極が形成可能である。しかし、全く新しい材料に対して、RIEないしはCMPによる加工方法を構築することは非常に困難である。
そこで本研究ではHEMT(High Electron Mobility Transistor,高電子移動度トランジスタ)に用いられるT型ゲート電極の形成方法に着目し、電子線リソグラフィを用いたリフトオフ法による加工を採用した。リフトオフ法を用いることで加工技術を速やかに確立し、負の熱膨張係数を有する材料によるひずみ導入効果の検証を迅速に行う。
電子線リソグラフィによるリフトオフを用いるため、2層レジストを用いた。2層レジストによるパターン形成後、負の熱膨張係数を有する材料をスパッタリング法で堆積し、2層レジストを除去することで所望のパターンを形成した。本手法により100nm幅の配線形成に成功した。次年度は本技術を用い、実際に負の熱膨張係数を有する材料をゲート電極とするトランジスタを形成する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の研究期間は2年である。初年度では加工技術が確立されていない負の熱膨張係数を有する材料の加工技術を開発する。2年目では初年度で開発した加工技術を用いて、負の熱膨張係数を有する材料でゲート電極を形成し、実際にトランジスタを作製することで負の熱膨張係数を有する材料による歪み導入の効果を検証する。以上が、当初の計画である。
初年度にあたる本年度では当初の計画通り、電子線リソグラフィによるリフトオフを用いることで負の熱膨張係数を有する材料の微細な電極形成方法を確立した。おおむね当初の計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

本年度で確立した微細加工技術を用いて、実際に負の熱膨張係数を有する材料をゲート電極とする新しいトランジスタを作製する。負の熱膨張係数を有する材料を用いることでゲート電極直下のシリコンに自在に結晶ひずみを導入することを目指す。評価はラマン分光法による結晶ひずみに大きさの測定と、トランジスタの測定から反転層におけるキャリア移動度を導出し、ポリシリコンやアルミニウムなどの正の熱膨張係数を有する材料をゲート電極とするトランジスタと比較することで行う。

次年度使用額が生じた理由

2020年1月頃より感染拡大の始まった新型コロナウイルスの影響により、3月に外注で試作予定であった実験治具の納品が遅れたため。
当該治具は次年度に納品され使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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