研究実績の概要 |
SnSは圧電だけでなく強誘電特性を有することが知られている.今回,その強誘電性を示すことで圧電特性を持つことを実証した. マイカ上にPVD成長した単層SnSにおいて第二光調波(SHG)を検出し,分極構造を有することを確認した.半導体でもあるSnSの分極反転に伴う微小な変位電流を検出するには金属界面との界面にショットキー障壁を形成し,チャネル部の伝導を抑制することが必要だと考えられる.そこで,マイカ上バルクSnSに仕事関数の異なる種々の金属電極を取り付けショットキー障壁高さの2端子測定を行った.仕事関数の大きな金属(Cu, Ni, Pd, Au)ではオーミックな電流電圧特性が得られたのに対し,仕事関数の小さな金属(Al, Ag)では非線形な電流電圧特性が得られた.この結果は,p型半導体であるSnSに対して仕事関数の小さな金属電極を用いることでショットキー接合を形成できることを示唆している.Agコンタクトを用いた数層~単層SnSのデバイスの室温における電流電圧特性は,ある電界で電流値のピークをもっており,分極反転に伴い変位電流が流れるという強誘電体で観測される特性を示した.変位電流であることを確かめるために印加電圧の正・負側で2回ずつ掃引するDouble-wave測定を行い,分極反転が起こる1回目の掃引のみピークが生じ,分極の向きが維持される2回目は生じない挙動を得た.以上より,SnSの強誘電特性(圧電特性)を実証することができた.
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