研究課題/領域番号 |
19K21958
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森田 剛 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60344735)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 水熱合成法 / チタン酸ジルコン酸鉛 / エピタキシャル / 強力超音波 |
研究実績の概要 |
圧電材料として工業的に一般的に用いられるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)はセラミックとして利用されているが、単結晶化が極めて困難である。これは600℃以上の高温プロセスから室温に冷却する際の相変化によって、内部応力が顕著になってしまうためであう。これに対してキュリー点以下の低温合成が可能な水熱法を用いて、さらに独自開発した超音波アシストを導入することで、厚膜化したエピタキシャルPZTの合成が可能になることに着目したのが本研究課題である。 本年は、強力超音波振動子の組み立て方法を改善し、十分な強力超音波が照射できるシステムを構築した。この成膜システムにより、単結晶チタン酸ストロンチウム(100)を基板としてPZTエピタキシャル膜の合成し、超音波照射が極めて重要な役割を担うことを確認した。具体的には、超音波しない場合にはPZT膜が成膜されていないような不均一性が生じているのに対して、超音波照射によって、平滑なPZT膜が得られることをSEM画像によって見出した。さらに、このXRD計測から、エピタキシャル成長での成膜であることと、不純物が極めて少ないことが分かった。さらに、超音波振動子の出力面と基板との距離を変化させることで、超音波音圧が成膜プロセスに与える効果についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超音波アシスト水熱合成法によりPZTエピタキシャル成膜が可能なシステムを構築し、成膜したPZT膜の評価を実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
成膜したエピタキシャルPZT膜の断面SEM像や逆格子XRDマッピングの測定を行い、結晶性の評価を行う。また、水熱合成条件や超音波照射プロセスを変化させてPZTの厚膜化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19に関係する緊急事態宣言などにより、成膜実験を十分に実施することができなかったが、次年度には単結晶基板などを十分に購入し、成膜プロセスの最適化などを行う予定である。
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