研究課題
日常で健康状態を常時手軽にモニタすることができれば、未病・健康寿命延伸に繋がる。呼気や皮膚表面から放出されるガス(皮膚ガス)はヘルスコンディションおよび病態と密接に関連しており、採取が容易で人体への侵襲や精神的な負担が伴わないバイオマーカである。糖尿病の場合大量のケトン体が血中に増加する。このケトン体の中で揮発性の高いアセトンは血液を通じて呼気や皮膚表面から放出されるため、皮膚放出アセトンの濃度をモニタリングすることで糖尿病の状態管理が可能となる。そこで皮膚ガス計測に必要な超高感度な計測機構を有し、ウェアラブル(小型)で繰り返し計測が可能な携帯型皮膚ガスセンサの開発を目指した。具体的には、ガス検出部:酸化物半導体ナノロッド-コアシェル構造:半導体式ガスセンサは固体表面とガスとの反応によって生じる抵抗の変化に基づき、ガスの存在やその濃度を計測する。従って比較的安定な表面を有する酸化物半導体を材料として用いることが多い。一般にn型半導体であるWO3、ZnO、SnO2、TiO2やn型磁性半導体CoZnO、p型半導体であるCu2O、NiO、磁性半導体であるFe2O3等が半導体式ガスセンサの材料として候補として考えた。我々は先行実験によりアセトンガスに対しては、WO3半導体が選択的計測感度が高いことを確認している。ゼオライトとのコアシェル構造FETを形成し、各種皮膚ガスに選択的感度を有するセンサの作製を目指し、研究を行った。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って研究・実験を進めており、順調に進展していると考えられるため。
遺伝子改変モザイクウィルス鋳型半導体ナノ粒子ワイヤに関する研究を進める。具体的には、さらに1ppb以下の高感度計測を実現するため、遺伝子改変モザイクウィルスを鋳型として、WO3半導体やGa2O3半導体のナノ粒子(数nmφ以下)集合体のナノワイヤを合成し、微粒子化することによる表面積増大および、ガスセンサの極限高機能化に挑戦する。従来の酸化物半導体微粒子サイズは、最小でも数百nmで、スケールメリットにり感度3桁アップが試算され、ppb以下の超高感度化達成を目指す。
経費削減により予定より実験等にかかる費用が少なくできた。また学会等がオンライン開催になったため、旅費が削減できた。2021年度は、遺伝子改変モザイクウィルス鋳型半導体ナノ粒子ワイヤの研究を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (33件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件) 備考 (1件)
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