研究課題/領域番号 |
19K21962
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田畑 仁 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00263319)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 皮膚ガス / ガスセンサ / 酸化物半導体 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1)機能性多孔質材料(ゼオライト)を用いて皮膚ガスを選択的に濃縮し、(2)濃縮した皮膚ガスをナノ構造制御した半導体式ガスセンサで計測することにある。この2つの機能を複合した複合機能(タンデム型)ガスセンサの開発を行った。 具体的には、 1)半導体式ガスセンサは固体表面とガスとの反応によって生じる抵抗の変化に基づき、ガスの存在やその濃度を計測する。従って比較的安定な表面を有する酸化物半導体を材料として用いることが多い。一般にn型半導体であるWO3、ZnO、SnO2、TiO2やn型磁性半導体CoZnO、p型半導体であるCu2O、NiO、磁性半導体であるFe2O3等が半導体式ガスセンサの材料として候補と考えた。先行実験によりアセトンガスに対しては、WO3半導体が選択的計測感度が高いことを確認している。ゼオライトとのコアシェル構造FETを形成し、各種皮膚ガスに選択的感度を有するセンサの作製を行った。 2)さらに1ppb以下の高感度計測を実現するため、遺伝子改変モザイクウィルスを鋳型として、WO3半導体やGa2O3半導体のナノ粒子(数nmφ以下)集合体のナノワイヤを合成し、微粒子化することによる表面積増大および、ガスセンサの極限高機能化に挑戦した。(従来の酸化物半導体微粒子サイズは、最小でも数百nmで、スケールメリットにり感度3桁アップが試算され、ppb以下の超高感度化達成を目指した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究への参画を期待していた外国人研究者(ポスドク)が、コロナ禍による外国人入国制限の為に来日出来ず、最終的に本人から採用辞退の申し出があった。この対応として、日本人博士研究者あるいは既に日本にて研究活動を実施している外国人博士研究者(ポスドク)を対象に募集し対応した。
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今後の研究の推進方策 |
皮膚ガスは呼気とは異なり計測に意識的動作が不要であるため、常時・無意識計測による健康管理が可能な健康状態/病態モニタとして、ヘルスケアおよび医療現場で切望されている。しかし、皮膚ガス濃度はppb(10億分の1)レベルであり、極めて微量ガスの検出が鍵となる。本研究は超高感度かつ装着可能な小型皮膚ガスセンサの開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費削減により予定より実験等にかかる費用が少なくできた。また学会等がオンライン開催になったため、旅費が削減できた。 2022年度は、超高感度皮膚ガスセンサ技術の研究を進めていく。
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