研究課題/領域番号 |
19K21968
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
伊東 淳一 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90377218)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | SRM / 5相 / 機電一体 |
研究実績の概要 |
Switched Reluctance Motor(SRM)の欠点であるトルクリプル,入力電流リプル,騒音の3つをゼロにする,すなわちトリプルゼロを実現する方法を検討した。 近年,ワイドギャップ半導体(SiCやGaN)を用いたスイッチングデバイスの高周波化に伴い,駆動電流の波形制御によりトルクリプル,入力電流リプル,騒音を低減する手法が盛んに研究されている。しかし,3相SRMにおいて,トリプルゼロを達成しようとすると,正トルク領域だけでは制御的自由度が足りないため,負トルク領域に積極的に電流を流す必要があり,銅損が極端に増加し,実用的でないほど効率が悪化するという問題があった。そこで,5相SRMにより自由度を拡大し,高効率を保ちつつ,トリプルゼロを達成する手法を提案した。 まず,3相SRMと5相SRMの制御的自由度を明確化し,5相SRMでは負トルクに寄与するような無駄な電流を流すことなく,トリプルゼロを達成できることを確認した。次に,SRMの非線形数学モデルを元に,5相SRMの制御的自由度を最大限活用しつつ,トリプルゼロを達成する理想電流波形を最適化手法により導出した。そして,電磁界解析により,トルクリプル,入力電流リプル,および,騒音の原因となるラジアル力リプルをそれぞれ90%以上低減できることを確認した。加えて,3相SRMでは通常の駆動と比較して銅損が54.2%増加するのに対して,5相SRMでは3.5%の銅損の増加のみでトリプルゼロを達成することを確認した。 実機検証を行うため,我々が所有する3相SRMと同等の出力特性を有する5相SRMを設計・試作した。現在,上記で説明した3相SRMの問題点を実機により確認した。今後,5相SRMを用いて,提案した高効率を保ちつつトリプルゼロを達成する理想電流の効果を実機により確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の経緯書くに従って順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今期は,設計・試作した5相SRMを用いて,提案した高効率を保ちつつトリプルゼロを達成する理想電流の効果を実機により確認する予定である。5相SRMで実機試験するにあたって,SiCデバイスを用いて5相インバータを試作する予定である。SiCデバイスを用いることで,デバイスで発生する損失を低減できるため,モータで発生する損失だけでなく,システム全体としても高効率を維持できる。加えて,高周波なスイッチングが可能となるため,駆動電流を正確に波形制御することができる。 また,トリプルゼロを達成する理想電流波形を導出は,動作点を低中速域に絞って最適化している。今後,電源電圧の制約が問題となってくる高速回転域など,幅広いモータの動作領域でも5相SRMによる高性能化,省エネルギー化が達成できるよう,理想電流波形の最適化の改善を行う予定である。
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