研究課題
挑戦的研究(萌芽)
ダイヤモンド構造を好むIV族混晶半導体は、閃亜鉛鉱構造を好むIII-V族半導体と比べ共有結合の自由度が高いため、より精密な結合状態の制御(ボンドエンジニアリング)が必要とされる。本研究では、IV族混晶半導体の中でもあまり理解の進んでいないシリコンスズを題材とした。絶縁性基板上への薄膜形成技術や高濃度ドーピング技術を構築することで、シリコンスズの基礎的な各種物性値(光学物性、電子物性、熱電変換特性)の計測に成功した。
半導体工学
シリコンスズは、シリコン中のスズ固溶限が0.1%と極めて少なく合成が難しく、IV族混晶半導体の中でもあまり理解の進んでいない材料である。本研究遂行により、シリコンスズの高品位形成や基礎物性の計測が可能になったことに加え、新しい分野への応用可能性(熱電変換材料)を示した。本研究がターゲットとするシリコンとスズは、デバイス応用、集積化の観点から最も有力視されているIV族元素で構成されているため、シリコン大規模集積回路や半導体メモリなどへの産業応用上の基盤になりうると期待できる。