本課題は、超短時間領域の反強磁性磁化ダイナミクスを理解し、磁化反転デバイスを実証することを目的としている。まず、NiOやα-Fe2O3等の反強磁性材料についてその磁化ダイナミクスの調査を行い、磁化ダイナミクスを理解する上で重要な共鳴周波数やダンピング定数が結晶性やカチオン置換元素によって自在に変化することを明らかにした。さらに、光伝導スイッチを用いたピコ秒電流パルスを反強磁性体に注入し、磁化反転を誘起する実験を行ったが、磁化反転を明瞭に捉えることができていない。本実験を通して、光伝導スイッチの最適化や電流パルス導入手法について、具体的な問題点を洗い出した。今後、目的達成に向けて研究を継続する。
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