研究課題/領域番号 |
19K21981
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡部 靖憲 北海道大学, 工学研究院, 教授 (20292055)
|
研究分担者 |
猿渡 亜由未 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00563876)
森 信人 京都大学, 防災研究所, 教授 (90371476)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | 水工水理学 / 海岸工学 |
研究実績の概要 |
時空間的包絡波集中による沿岸巨大波生成理論を室内実験並びに数値実験によって実証するとともに,生成した巨大波群の来襲に対する海岸の脆弱性を評価するため,以下の3つのタスクを並行して行った. タスク1 浅水包絡波集中理論の一般化と予測モデルの導出:既に開発済みである一次元浅水包絡波集中理論に対して,その包絡波形の発達並びに最大波高の予測を行うため,非線形Schredinger方程式による数値解析を導入した.急変する周波数に応答して不連続に変化する波速に伴うオーバーシュートを防ぐため適切なShock Capturing法を導入し,実験結果を高精度で予測することに成功した.屈折を伴う多方向入射に対する空間的集中効果を表す解析解を導出し,再現実験の準備が完了した. タスク2 一般化された包絡波集中理論の実証と巨大波の力学的応答分析:理論による集中波が発達する前に,水深変化あるいは波形勾配の増加に伴う砕波が生じた場合,巨大波の予測最大波高より低い値が観測されることが判明した.現有の造波水槽において詳細な観測を行い,浅水変形を経由した集中波と砕波との関係を明らかにした.鉛直堤防の1点に集中する多方向波のモデルとしてFaraday共鳴波を発生させ,空間集中波の特徴並びに非線形重複波の発達過程を調査し,複数の同心モードの重畳に伴う異常波が鉛直ジェット形成に寄与することを明らかにした.共同研究を行うエジンバラ大学において,同大学の大規模実験水槽において次年度に行う実験の方針について議論並びに実験準備を行った. タスク3波浪統計分析による沿岸巨大波発生条件の推定:海洋波浪スペクトルに従う波浪に対して浅水変形を経た海岸波浪のBenjamin-Feir不安定と砕波との関係を調査した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各タスク共に,何ら障害なく計画通り順調に研究が進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの問題に伴う出入国制限により,エジンバラ大学における大規模実験の遂行に不確実性が生じている.本実験の遂行が不能となった場合の代替実験あるいは数値解析を早急に計画し,研究の進展に障害が生じないように検討する.
|