研究課題/領域番号 |
19K21982
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
風間 聡 東北大学, 工学研究科, 教授 (50272018)
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研究分担者 |
井上 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60401303)
峠 嘉哉 東北大学, 工学研究科, 助教 (90761536)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 極端現象 / レーダー・アメダス / GEV / 独立性降雨 / 再現期間 / d4pdf |
研究実績の概要 |
3000年分のd4pdfデータを用いて頻度分析を行い,新たに空間再現期間を定義し,気候区分に基づいた 5つの地域における極値降水の空間的な発生頻度を解析し,極値降水の将来変化とその地域差についても考察を行った.過去実験の結果から,空間再現期間が最も長い(頻度が低い)地域は北海道(3.82年)である(3.82年).一方,空間再現期間が最も短い(頻度が高い)地域は西日本太平洋側(2.34年)であり,北海道の 1.6倍ほど頻度が高い.太平洋側と日本海側における空間再現期間の差は,東日本でほとんど見られない.一方,西日本では差が見られ,太平洋側の方が日本海側より1.27 倍頻度が高いことが理解された.将来の2℃上昇実験では,北海道と西日本日本海側の空間再現期間が長い(2.08年,2.07 年).また,西日本太平洋側の空間再現期間が最も短い結果を示した(1.67年).過去実験と比較した RP100 年極値降水の頻度増加率は,北海道において最も高く,1.83倍である.緯度が低い南の地域ほど頻度増加率は低い傾向が見られ,西日本太平洋側の頻度増加率が最も低い 1.40倍である. 領域降水量の極値の分析方法としてのAreal reduction factors (ARFs)は,領域平均降水量の極値を中心点の極値降水量に対する比で表すのに対し,空間極値モデルは,地点単位の極値降水量の空間的自己相関を構造化する.空間的に疎な気象観測点の雨量データに基づく分析から既往研究は両者の関連性を指摘している.より高い空間解像度を有するレーダ雨量データを用いて,秋田県米代川流域を対象に実証的に検証した結果,両者には明確な関連性がないことが示された.その主因は,中心点の極値降水量が局所的に異なることで,空間的自己相関構造が類似する状況下でもARFs の推計結果が大きく異なる場合があることが確認された.
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