水環境中には様々な汚染物質が存在する。その中でも医薬品や農薬類など人間活動由来の有機微量汚染物質の多くは難分解性を示し、現行の水処理では十分に分解除去できない場合がある。特に、十分に分解されず生じる変換物質には有毒なものも含まれるため、分解経路を十分に把握する必要がある。本研究では、従来の実験型アプローチとは異なり、効率的に実施可能と考えられる理論型アプローチを採用し、量子化学計算が酸化分解経路の推定において有用であるかを検討した。その結果、特にM06-2Xを用いることで、フェノールのOHラジカルによる酸化反応を精度よく計算できることが明らかとなった。
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