道路ネットワークのつながりや連結性の強さによって可達性(災害時でも到達できるかどうか)は大きく異なり,つながりが強いと可達性が確保される.本研究では,道路ネットワークのつながりの強さ(連結強靭性)を定量化するために,グラフ理論に基づき,道路ネットワークをノード(拠点・交差点などに相当)とリンク(道路に相当)で構成する.このノードとリンクの関係性を隣接行列と呼ばれる行列で表現し,また,ノードにつながるリンク数を対角成分に持つ次数行列とあわせて,ラプラシアン行列を構成し,道路ネットワークのノードとリンクのつながりを表現する.このラプラシアン行列の第二最小固有値は代数的連結度で,その固有ベクトル(第二最小固有ベクトル)からつながりが悪い部分を抽出することが可能である.2021年度は,前年度までに構築した理論やモデルの精緻化・改良などを行い,より洗練された手法へ発展させた.前年度までは,各ノードを等しく扱っていたが,人口密集地などはネットワーク上でそれらのノードの重要性などは他よりも高いと考えられ,そのようなことなどを考慮できるように理論やモデルの拡張などを行った.なお,2020年度においては,道路ネットワークのツリーの数を用いた道路ネットワークのつながりの評価方法についても検討やツリーの数による道路ネットワークのつながりの評価と上述の道路ネットワークのラプラシアン行列の第二最小固有値による方法との比較分析などを行っている.2019年度は,各ノードを等しく扱った上で,つながりが悪い部分はどのような部分なのかなどを理論的に検討して,つながりが悪いということの交通工学的な意味の解明などを行っている.
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