研究課題/領域番号 |
19K21989
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | サイクロスポーラ / 原虫 / 健康関連微生物 / 水処理 |
研究実績の概要 |
本研究は,サイクロスポーラ原虫を高感度かつ特異的に検出可能な手法を開発し,それを適用することで,浄水・下水処理における感染性サイクロスポーラ原虫の低減効果と水環境中における汚染実態を解明することを目的としている。 2020年度は,前年度に開発したInternal transcribed spacer 2(ITS-2)領域を対象としたTaqMan MGB系のリアルタイムPCR法を実際の水試料に適用することを計画しており,特に,サイクロスポーラ原虫による水系感染症の発生が深刻なネパール・カトマンズ盆地において下水や河川水,地下水等を対象とした採水調査を実施する予定であった。しかしながら,新型コロナウイルス感染症の影響により,現地に渡航することができなかった。そのため,過去の研究で採取した下水や河川水等のアーカイブ試料を陰電荷膜破砕型濃縮法によって濃縮して得られた原虫DNA抽出液を活用し,本研究で開発したTaqMan MGB系のリアルタイムPCR法を適用し,これらの水試料中におけるサイクロスポーラ原虫の検出定量を試みた。 これらのアーカイブ試料については,長期間の凍結保存に伴って原虫DNA抽出液中のDNAの分解が生じていたことが懸念されるため,より正確な定量データを得るためには,改めて採水調査を実施する必要があると判断された。そのため,研究実施期間を1年間延長し,新型コロナウイルス感染症の流行状況を勘案しながら採水調査を実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により,当初予定していた採水調査が十分には実施できなかったため。そのため,研究実施期間を1年間延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
サイクロスポーラ原虫の高感度検出に有効なリアルタイムPCR法の構築に成功したことから,今後はこの手法を適用することにより,浄水・下水処理におけるサイクロスポーラ原虫の低減効果や水環境中における汚染実態の解明に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた採水調査が実施できなかったことから,旅費を中心に次年度使用額が発生した。次年度使用額は,採水調査の旅費や実験用試薬類の購入費として活用する予定である。
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