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2020 年度 実施状況報告書

任意形状の混合粒径土砂の水流中の運動を対象としたオイラー型解析法の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K21995
研究機関広島大学

研究代表者

内田 龍彦  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00379900)

研究分担者 河原 能久  広島大学, 学術・社会連携室, 特任教授 (70143823)
橋本 涼太  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (60805349)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードオイラー型混合粒径モデル / 利用可能空隙率 / 粒径比 / 侵食過程 / 堆積過程 / Fine Packing / Coarse Packing
研究実績の概要

砂礫,石礫河川において河床を構成する幅広い粒度分布に対して,流れによる河床変動解析を行う場合,空隙率とコントロールボリューム厚さをどうするかの問題が解決されておらず,これらが長く混合粒径河床変動解析のネックになっている.一方,個別の粒子をラグランジュ的に解析する個別要素法(DEM) は,無数の土砂粒子を個別で取り扱うことは計算機能力の点から非現実的であり,実際,DEMの適用は比較的一様に近い粒度分布などの単純な条件への適用に限られる.本研究では,空間平均された粒子運動を記述できるオイラー的解析手法に着目した,新たな混合粒径土砂輸送解析モデルを開発することを目的としている.昨年度は,各粒径粒子が利用できる空隙率(利用可能空隙率)の概念を提案し,それを用いたオイラー型混合粒径堆積モデルを開発し,種々の粒度分布を用いた最密充填時の空隙率の特徴を説明できることを示した.また,有限厚さにおける空隙率と堆積高さについて説明できる理論を構築するとともに,水理実験により,分級による土砂体積の変化が生じることを明らかにした.本年度は,混合粒径土砂の堆積過程実験を行い,土砂量と各粒径の堆積高の変化を調べ,オイラー型混合粒径モデルの適用性を検証した.その結果,Fine Packing状態ではモデルは良好に再現できるが,Coarse Packing状態では空隙率を小さく計算することが分かった.また,砂防堰堤からの流れによる細粒土砂の流出に伴う粗粒化の実験を行い,その解析法を検討した.空隙から土砂が土砂が流出するため,浸食がすすむに伴い,見かけの侵食量に対して流出土砂量が多くなる現象が見いだされ,本モデルによりその現象が再現できることが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

混合粒径土砂輸送モデルの最も核となるオイラー型混合粒径土砂堆積モデルを侵食過程に適用し,その説明が可能であることを示したため.さらに,侵食過程についても実験を行い,オイラー型混合粒径土砂輸送モデルの妥当性を確認している.ただし,侵食過程についてはさらなる検討が必要である.また,自然堆積土の空隙率と人工細密実験時の空隙率の差は,空隙率の分布状況によって変化することが分かった.すなわち,2粒径粒子充填時におけるFine Packing状態とCoarse Packing状態によって,細密充填状態のなりやすさは変化することが分かった.このため,混合粒径土砂輸送モデルの開発には,土砂の充填過程についも重要であるという新たな研究の方向も示し,粒状体状態力学や土質工学分野などの関連研究を調べ,さらなる検討が必要である.

今後の研究の推進方策

本研究では,空間平均された粒子運動を記述できるオイラー的解析手法に着目し,新たな混合粒径土砂輸送解析モデルの枠組みについては構築することができた.混合粒径土砂の堆積過程実験では,Fine Packing状態ではモデルは良好に再現できるが,Coarse Packing状態では空隙率を小さく計算するため,自然堆積土の細密充填のしやすさとその過程についても検討する.具体的には,種々の粒度度分布と自然堆積土の関係を調べる.自然堆積土の空隙率については,河川だけでなく,幅広い粒度分布からなる土石流堆積土も対象として,その計測手法と合わせて検討する.また,それらの土砂を人工的に静的条件で堆積させる場合やタッピングや棒付き充填法などでランダム充填の細密状態にしていくものなどを調べ,各粒径粒子が利用できる空隙率(利用可能空隙率)への侵入のしやすさを,Fine Packing状態とCoarse Packing状態を説明できる粒度分布指標と動的な侵入過程の定式化を検討する.このためにはこれまでの本研究成果を発表し,粒状体力学や土質工学分野などの関連研究の研究者と議論することが重要である.一方,細粒子の流出過程については実験結果を再現する理論についてさらに検討し,これらをもとにオイラー型混合粒径土砂輸送モデルを開発し,別に開発している底面流速解析法とのカップリングを行う.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で学会の研究発表が行えなかったものがあった.2021年度に残された課題を進めるとともにこれまでの研究成果を取りまとめるために使用する予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Eulerian deposition model for sediment mixture in gravel-bed rivers with broad particle size distributions2020

    • 著者名/発表者名
      Uchida, T., Kawahara, Y., Hayashi, Y., and Tateishi, A.
    • 雑誌名

      Journal of Hydraulic Engineering

      巻: 146(10) ページ: -

    • DOI

      10.1061/(ASCE)HY.1943-7900.0001783

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 流れによる砂防堰堤からの流出土砂量の評価に関する基礎的研究2020

    • 著者名/発表者名
      中島奈桜,田丸雄大,内田龍彦,河原能久
    • 雑誌名

      河川技術論文集

      巻: 26 ページ: 615-620

    • 査読あり
  • [学会発表] Experimental investigation of porosity and volume of sediment mixture in straight open channel flows2020

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Hayashi, Tatsuhiko Uchida, Yoshihisa Kawahara
    • 学会等名
      22nd IAHR-APD congress 2020 in Sapporo
    • 国際学会
  • [学会発表] A sediment transport model considering porosity variation of sediment mixture coupled with a Eulerian deposition model2020

    • 著者名/発表者名
      Nao Nakashima, Tatsuhiko Uchida, Yoshihisa Kawahara
    • 学会等名
      22nd IAHR-APD congress 2020 in Sapporo
    • 国際学会
  • [学会発表] 水流による砂防堰堤からの土石流堆積土砂流出量の評価法2020

    • 著者名/発表者名
      中島奈桜,内田 龍彦,河原 能久
    • 学会等名
      令和2年度土木学会全国大会
  • [学会発表] 混合粒径土砂の堆積・侵食過程に関する基礎的研究2020

    • 著者名/発表者名
      木本祥太,林勇輔,中島奈桜,内田 龍彦,河原 能久
    • 学会等名
      令和2年度土木学会全国大会

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公開日: 2021-12-27  

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