研究課題/領域番号 |
19K21997
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
圓山 琢也 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (20361529)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 世帯不在率 / PT調査 / 世帯不在時間 / 社会生活基本調査 |
研究実績の概要 |
本研究は,交通調査データの新たな活用方法として,世帯単位の時間帯別不在率の実態を明らかにし,それに基づく政策分析方法を提案することを目的としている.本年度は以下の成果を挙げた. (1)全国比較分析:1987年から2015年までの4時点の全国パーソントリップ(PT)調査のデータを利用して,複数都市・複数時点での時間帯別世帯単位不在率を算出した.時間帯別世帯不在率に基づいて都市をクラスタリングすること,不在率の変化の要因を分析するなどの展開を示した.成果は学会で発表し,国際誌に投稿中である. (2)世帯不在時間分析:世帯不在率に加えて,平均世帯不在時間という指標も計算可能であることに着目し,過去3時点の熊本都市圏PT調査のデータを利用した分析を実施した.世帯不在時間の地理的分布の空間的可視化や不在時間のTobitモデル,時間配分モデルによる分析も実施した.成果は学会で発表し,国際誌に投稿中である. (3)社会生活基本調査との比較分析:社会生活基本調査等によって生活時間に関する全国都市の経年的データが利用可能である.この調査結果には在宅/外出状況のデータは含まれていないが,それを推定するアルゴリズムを開発し,世帯不在率の経年的変化などの分析を進めた.世帯年収別の不在率の違いなど,PT調査では得られない分析の視点が可能となった.また,PT調査によって推定された不在率と比較することで,PT調査に含まれるトリップの記入漏れなどが示唆される結果を得ている.成果は学会で発表予定である. (4)途上国の世帯不在率の比較分析:世界の途上国の14都市でJICAが実施したPT調査を利用して,世帯不在率の国際比較分析を行った.都市特有の文化や宗教や生活様式の影響が示唆される結果を得ている.成果は学会で発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していなかった,世帯単位の不在時間という新たな指標での分析や,社会生活基本調査という生活時間調査データに基づく分析も進められ,新たな知見の創出に成功しているため,当初の計画以上に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
・JICA実施の途上国でのPT調査の分析をより深化させる. ・携帯電話等の移動軌跡データによって算出される不在率と自記式調査結果との比較を進める. ・不在率の推定値を利用した宅急便再配達,訪問調査の最適化などを検討する. ・研究成果の国際雑誌への投稿を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症により学会等がオンラインで実施されたため,旅費の支出が少なくてすんだのが理由である.感染症の収束後に,対面での学会等に積極的に参加し,成果を発表する計画である.
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