研究課題/領域番号 |
19K21998
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
山田 一夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島支部, 主任研究員 (30590658)
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研究分担者 |
五十嵐 豪 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (10733107)
東條 安匡 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70250470)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | イメージングプレート / Cs-137 / Sr-90 / 分離定量 / 遮蔽板 / 厚さ |
研究実績の概要 |
Cs-137およびSr-90混合溶液に浸漬したモルタル試料について、イメージングプレート(IP)により浸透プロファイルを取得した。両者の放出するβ線のエネルギー差を利用し、両者を分離定量する試みを行った。 実験では、位置決めジグを作製し、位置再現性の高い画像を取得する準備を行い、遮蔽板の材質、厚さを変えて検討を行った。0.5mm厚さのPET板使用時には、分離定量の精度が良いとは言えない結果となった。これは遮蔽版が厚いために、遮蔽時の像がぼけることによると考えられた。そこで、10μmのSUS板による検討を試みたところ、高い精度の分離定量に成功した。また、0.1mmのAl板使用時においても同等の精度が得られた。 高エネルギーのβ線が原子番号の大きな原子と相互作用することで、制動X線や特性X線が放出されるため、SUS板による遮蔽は好ましくないと予想されたが、この影響よりも遮蔽版の厚さの影響のほうが大きいことが分かった。 今回は、濃度既知の標準試料の測定に再現性が得られなかったため,分離定量に用いる定数は恣意的に決定して分離定量を行った。定数によって決定するのはグラフの高さ、つまりPSL値の大きさのみであり、深さ方向へは影響しない。定数をピーク値を合わせるように設定したところ、侵入深さについてもAl板,SUS板使用時については概ね一致した。したがって、標準試料の測定再現性の問題や、川砂骨材の場合と石灰石骨材の場合との遮蔽効率の違いといった問題が解決すれば、このIPを用いたCs-137,Sr-90の分離定量手法は十分な精度で、現場試料の測定にも適用可能と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画において、1年目は、実験の準備と予備検討であり、提示した以下の検討項目、1)遮蔽板の密度を変えた場合の制動放射線の発生の影響、2)イメージングプレートの被覆層厚さの空間分解能への影響、3)試料測定時の位置 決め治具の検討、4)浸透への濃度影響の評価、5)異なる核種の浸透挙動評価、6)分離定量分析の実施手順の検討、7)空間分解能の明確化、のうち、1)から3)までの課題を終了したため、研究の進捗はおおむね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は定量精度を確保するため、既知濃度の面線源(購入予定)および標準濃度セメントペーストを作製し、濃度が異なる溶液に浸透した試料を用いて、Cs-137とSr-90の分離を主に実施する。これらの検討を通して、分離定量分析の実施手順をまとめ、空間分解能についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗から、使用を予定していた標準濃度面線源およびCl-36のを次年度に延期したため、関連の予算を次年度使用することとした。2020年度には、3種類の面線源(Cs-137、Sr-90、およびその混合物)、およびCl-36を購入し、検討を進める。
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