研究課題
今日のアジア太平洋地域は、東日本大震災などの自然災害を機とするものに限らず、気候変動による長期的な海面上昇、人口集中によるスラム化、急激な経済成長によるエネルギー需要などを機に、住民移転を検討せざるを得ない喫緊のグローバルな問題に直面している。コミュニティ移転は環境志向で適正規模の居住環境の再構築へ向けての実効的な再定住手法として注目されており、地域社会のサステナビリティを考える上で有効な計画論とそのモデルの検討が必要である。本研究は、アジア太平洋地域において大災害や気候変動、都市開発などを機に実施されている住民移転について、住民自身の自発的な居住地の選択としての移転(Voluntary Relocation)ではなく、公的機関やNGOなどの支援団体により資金が投入され計画的あるいは強制的に住民移転が実施されるケース(Forced Displacement and Resettlement)に注目し、当該住民が新たな生活環境に対してどのように適合してきたのかについて環境移行理論の視点から分析することを目的とした。実施計画として、1.アジア太平洋地域のパイロット的事例における移転計画の特徴の比較、2.環境移行理論に基づく生活者(移転者)の環境適応プロセスの分析、3.生活者の定着実態からみた既存計画手法の空間的・制度的限界の考察、の課題群に取り組んだ。具体的には、ベトナム Pachepalanh集落のダム建設に伴う強制移転における居住環境の再生、及び、グアテマラ・サカプラス集落における洪水に伴う居住地の変容の実態を明らかにした。
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Community Relocation, Disasters and Climate Change in Asia-Pacific Region
巻: - ページ: 111-129
Sustainability
巻: 15 ページ: 12591~12591
10.3390/su151612591