研究課題/領域番号 |
19K22000
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
羽山 広文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80301935)
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研究分担者 |
菊田 弘輝 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20431322)
林 基哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (40320600)
森 太郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70312387)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 人口動態統計データ / 気象データ / 死亡リスク / ヒートショック / 季節性変動係数(CSVM) |
研究実績の概要 |
本研究は、厚生労働省の人口動態統計データの死亡票(1972年~2016年)、国土交通省 気象庁のアメダス気象データ(日本国内約1300か所)、総務省の住宅・土地統計データおよび国勢調査データなどのビッグデータを活用し、以下の事項を進め、健康リスクに影響を与える要因を明らかにし、健康で安全な地域環境・住環境形成の指標を得ることを目的にしている。今年度は以下の事項を進めた。 1.各種ビックデータから必要なデータを連結する手法の開発では、①人口動態統計データ、②気象データ(全国の気象観測所(約1,300)箇所のデータ)、③住宅・土地統計調査および国勢調査データ、これらの各種ビッグデータを活用し、1972年~2016年の人口動態統計データ(約4,133万件)に関連する気象データ、住宅・土地統計データ、人口データを関連付けた新たなデータベースを構築した。特に、市区町村と気象観測所の地理情報を基に、GISソフトを用い該当する市区町村の最寄り観測所を探査し、Webスクレイピングを活用し死亡票と該当する気象データを抽出し連結した。 2.季節・外気温度が死亡リスクへ与える影響の評価では、①季節依存性の評価:1972年~2016年の人口動態統計と関連する気象データを基に、全国47都道府県における季節が死亡リスクに与える影響を死因別、年齢別に評価する。また、年毎に評価することで、季節依存性の経年変化の傾向も明らかにした。なお、季節依存性の評価に関しては、イギリス国家統計局が使用している季節性変動係数(CSVM)を用いた。この指標を用いることで、国際的な比較も可能とした。②外気温依存性の評価:各死亡票に該当する月日、地域の日平均温度との関連を評価することで外気温依存性の評価が可能にした。死因別、全国都道府県別、年齢別、年別に評価することで、死因と地域性、年齢、経年変化の傾向を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関連データの入手およびデータ間の連携が順調に実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、住宅政策の経年変化と死亡リスクの明確化を以下の手順で進める。①住宅・土地統計調査データを活用した評価:住宅・土地統計調査データには、地域毎に「断熱・結露防止工事実施比率」、「ペアガラス未装着住宅比率」など、住宅の断熱性能を表すデータが含まれている。これらのデータと人口動態統計データの関係を評価することで、住宅の熱性能と死亡リスクの関係を明らかにする。②住宅政策と死亡リスクの評価:1970年代のオイルショック以来、住宅の省エネルギー基準が強化されてきた。住宅は人々の安全と健康を守るシェルターとしての役割があり、住宅の熱性能向上が、寒冷暴露にともなう死亡リスクの低減に寄与してきた。ここでは、過去の住宅省エネルギー基準による建物の断熱性能とその普及率を分析し、気象条件、地域条件、建物条件が死亡リスクに与える影響を総括し、健康で安全な地域環境・住環境形成に資する提言としてまとめる。
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