本研究では、仙台などの大都市の中心市街地に多く見られる3階建~10階建程度の集合住宅(マンション)、オフィスビル、商業施設、学校などの一般的な建築を対象に、CLTやその他木材を用いて木造化する工法の開発するため、以下の研究を行った。 ①接合部の設計法:CLTパネルに設けた切り欠き(凹部)に木ダボを嵌め込みかみ合わせる工法や、少数のドリフトピンと鋼板で接合する新しい接合形式を対象として、要素実験及び部材実験を行い、破壊性状や変形性能を把握し、接合部の設計法提案した。 ②CLTパネルの構造解析モデル:現行の「CLTパネル工法設計・施工マニュアル」で規定される構造解析法は、曲げ接合ボルトやせん断接合金物を一つずつモデル化する複雑なモデルで、構造設計実務になじまない。そこで、一般的な構造設計プログラムで用いられる一軸曲げばねモデルで、CLT壁パネルをモデル化し、簡易に構造計算できる構造解析モデルを提案した。 ③提案型接合部を用いたCLT構造ユニットシステムの検討:複数枚の小幅CLTパネルを横に並べて大判パネル化して強度・剛性を確保する、また、直交方向に接合して立体壁として強度・愚性を高める工法について検討した。さらに、これらの標準壁ユニットを用いた普及型の中層プロトタイプ建築の案について検討した。、 ④CLT中高層建物の構造設計の検討:①~③で検討した項目を用いて、ユニット化工法による中層CLT建築プロトタイプについて、構造解析を行い耐震性能を検討し、実現の可能性があることを明らかにした。
|