研究課題
本研究では,建物側に比べて精度が低い地震動の評価精度の向上を目指して,東北地方の超巨大地震の大振幅記録を含む非常に多くの強震記録を用いて,深層学習を用いた強震動予測や地震動の即時評価・面的評価に挑戦している。令和3年度は,研究の最終年度として,深層ニューラルネット(DNN)の加速度応答スペクトル評価への適用性の検討をさらに進めた。前年度までの検討で面震源効果の考慮と外挿時の不安定性が課題となっていたが,地震動評価式と組み合わせることで,面震源効果を考慮し,さらにある程度外挿時の安定性と高精度化の両立が可能であることを示した。なお,DNN部分の精度はやはりデータ数に大きく依存するため,地域により評価精度に違いが生じることに注意が必要である。また,地震発生後主要動到達前の早期地震動スペクトル予測について検討した。余裕時間と精度はやはりトレードオフの関係にあるが,LSTMにより前線観測点から目標観測点のスペクトル予測がある程度可能なことを示した。この結果は,早期地震警報の枠組みの中で,建物応答予測あるいは床応答予測に寄与する成果と考えられる。研究期間全体では,機械学習による強震動予測,建物応答予測,早期地震警報および地震後の面的地震動分布把握について検討した。データ数や分布に大きく依存する点に注意する必要はあるが,複雑な現象をモデル化できる深層学習の適用は評価精度向上に寄与すること,学習に時間はかかるが即時に適用可能な点は早期警報や発災後対応に有効と判断されることを示した。
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Computers & Structures
巻: 252 ページ: 106570~106570
10.1016/j.compstruc.2021.106570