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2019 年度 実施状況報告書

都市温暖化適応策体系化の基礎となる全世界の市街地形態の自動推定手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22004
研究機関東北大学

研究代表者

持田 灯  東北大学, 工学研究科, 教授 (00183658)

研究分担者 石田 泰之  東北大学, 工学研究科, 助手 (20789515)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード機械学習 / Local Climate Zone / 衛星データ / 市街地形態 / 都市微気候 / ゾーニングマップ
研究実績の概要

1.市街地形状の自動生成手法の整備:各国、各地域の市街地形状を再現するため、人工衛星データを用いた市街地形状の自動生成手法を整備した。具体的には、解像度30mで、建物を含む表層高さデータベースDSM(Digital Surface Model)から標高の衛星データベースDTM(Digital Terrain Model)をGIS上で差し引き、市街地形状の3次元データを取得する手法である。
2.市街地形態を統一的に区分するための手法提案に向けた検討:市街地形態を形状パラメータに基づいて分類する基準値を決定するため、様々な市街地形態(低層から高層、低密から高密)を有すると考えられる東京都及び近隣5県の形状パラメータ(グロス建蔽率、平均建物高さ、建物高さの分散等)を、項目1で提案する手法により再現された市街地形状データ、人工衛星データ、GISデータを併用し算出した。また、各パラメータに関する頻度分布、及び建築基準法・都市計画法の建築制限の閾値に基づいて、市街地形態を分類するための形状パラメータの基準値を設定した。これにより市街地形態を、密度について3種類(高密・低密・過疎)、高さについて4種類(超高層・高層・中層・低層)に分けた、計12の区分を提案した。
3.ゾーニングマップの作成:東京、仙台、香港、武漢、上海の5都市の形状パラメータ(グロス建蔽率、平均建物高さ、建物高さの分散等)を項目1の手法及びGISデータに基づいて取得し、項目2により提案した基準値を用いて市街地をゾーニングする、ゾーニングマップを作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

「研究実績の概要」のうち、「1.市街地形状の自動生成手法の整備」については、当初は解像度0.5mのデータ(有償)を用いて実施する予定であったが、解像度30mのデータ(無償)を用いて手法構築を行った。有償データによる自動生成は次年度に実施する予定である。また、「2.市街地形態を統一的に区分するための手法提案に向けた検討」及び「3.ゾーニングマップの作成」は、次年度実施予定の作業であったが、研究が順調に進展したため実施された。以上により、研究計画全体としては当初計画以上に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

1.市街地形状の高精度な自動生成手法の整備:2019年度に整備した市街地形状の自動生成手法の高精度化を図る。2019度は表層高さデータベースの解像度が水平方向に30m×30mの無償のデータを用いて手法の構築を行った。今後は解像度5mの有償データを用いて、高精度な形状生成を実施する。
2.市街地形態と衛星データから算出される微気候に関連する形状以外のパラメータの関係分析:項目1で整備した手法に基づいて得られる形態パラメータ(グロス建蔽率、建物高さ等)と衛星データから算出される微気候に関連する形状以外のパラメータ(緑被率、地表面の日射反射率、人工排熱量等)の関係を分析する。また、2019度提案した区分ごとに上記パラメータの基準値を決定する。これをメソ気象解析の地表面境界条件として用い、都市スケールの気候予測を行う。
3.機械学習に基づくゾーニングマップ作成手法の整備:本項目は項目2と並行して実施する。項目1で整備する手法により再現された市街地形状データから算出された形状パラメータ及び衛星データから算出される微気候に関連する形状以外のパラメータ値から各位置の市街地形態区分を判断し、各区分の教師データを抽出する。各区分の衛星データの特徴を機械学習システムに学習させ、衛星データ情報(Input)に基づいて市街地形態区分(Output)を自動的に識別するためのFunction(InputとOutputの関係式)を機械学習システムを用いて作成する。これに基づいて、自動的に各都市(東京、仙台、香港、武漢、上海)の全域を区分するゾーニングマップの作成手法を整備する。これに基づいて、項目2で決定した地表面境界条件を与えたメソ気象解析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

当初は、市街地の形状再現手法に有償の高精度(水平方向5m解像度)なALOS全球数値地表モデルDSM・DTM(AW3D)を用いる予定であったが、水平方向30m解像度の無償のデータベースを用いて手法の構築を実施したため、この差額が生じた。次年度は、有償のALOS全球数値地表モデルDSM・DTM(AW3D)を購入し、今年度構築した形状再現手法を用いて高精度な市街地の形状再現を行うとともに、ここから高精度な形状数値データを取得する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 領域気象モデル WRF の土地利用データのための LCZ マップの作成(その 1) 客観データに基づく東京首都圏の市街地形態と地表面被覆の分析2020

    • 著者名/発表者名
      千葉 絵理奈、石田 泰之、王 正、周 希霖、持田 灯
    • 雑誌名

      日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] Production of LCZ maps for WRF land-use data (Part 2)LCZ map based on a proposed classification criteria in Wuhan, China2020

    • 著者名/発表者名
      Zheng WANG、Yasuyuki ISHIDA、Erina CHIBA、Xilin ZHOU、Yingli XUAN、Akashi MOCHIDA
    • 雑誌名

      日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 実測に基づく実大高木樹木の蒸散量の評価(その 7) 日射・飽差・土壌含水率の変化が樹木蒸散量に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      石津光、小林炎、石田泰之、手代木純、持田灯
    • 雑誌名

      日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 実測に基づく実大高木樹木の蒸散量の評価(その 8) 気孔コンダクタンスモデルのモデルパラメータ提案及びこれを用いた樹木蒸散量予測2020

    • 著者名/発表者名
      小林炎、石津光、石田泰之、手代木純、持田灯
    • 雑誌名

      日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

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公開日: 2021-01-27  

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