本研究では,鉄筋コンクリートのインピーダンス計測によって,コンクリートや内部の鉄筋のひずみを非破壊・非接触に推定する技術の開発を目的としている。2019年度には研究採択(7月)直後の8月から半年間の実験棟改修工事に伴う加力試験装置の使用ができなかったこと,また,その後2020年度にはCOVID-19により実験棟の立入・実験の実施が禁止・制限される状況にあり,研究期間の半分以上で実験不可という厳しい状況にあった。昨年度(2021年度)には,①2020年度に実施した非破壊・電極埋設型小型試験体実験について研究計画A-2に基づいて試験水準を広げて展開し,スパース推定法によるひずみ推定モデルをほぼ構築するに至っていた。本年度(2022年度)は,この成果についてさらに実験および実験データの分析,推定モデルの改良を進め,ひずみ推定のメカニズムを解明した。これによって,電極あるいはコイルを埋設しない方法によってひずみを推定するという,本研究申請段階とは同一の目的について異なる手法の方が実現性が高い可能性があることを見出した。
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