研究課題/領域番号 |
19K22007
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
佐土原 聡 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90178799)
|
研究分担者 |
村上 暁信 筑波大学, システム情報系, 教授 (10313016)
野原 卓 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (10361528)
淺輪 貴史 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50361796)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | 人流計測 / 歩行者軌跡データ / 公共空間の利用状態 / クラスタリング / 歩行空間ネットワーク / 3D都市モデル / 横浜みなとみらい21地区 |
研究実績の概要 |
今年度は、人流と環境要因との関係分析による「知の統合化」に向けた第一歩として、都市エリアの人流を「大」「中」「小」の3スケールで把握・分析する考え方を整理した。そして、人流と環境データを「サイバー空間」に搭載して関係分析を行うために、横浜みなとみらい21地区を対象にサイバー空間の追加構築、人流測定、分析を一部行った。 「大」スケールではサイバー空間上に各建物入口までの3Dの公共歩行空間ネットワークを追加構築し、最短ルート検索などが機能することを確認できた。今後、目的地となる建物床面積と関連づけたエリアの人流分析・予測に活用する。 「中」スケールでは、一定の空間内の人の全体の状態を扱う。熱環境が人の空間利用状態に大きくは関わらない中間期の屋外・屋内の人流データを分析した。屋外のグランモール公園において、樹木やベンチ、芝生の有無、歩行目的の空間か否か等で分けた3ゾーンの人の歩行や滞留の状況と変化、ゾーン間の相関、および利用者行動との関わりなどについて分析した。また、屋内のクイーンモールを対象に、歩行軌跡データから公共空間の利用状態の変化を定量的に示す手法を検討した。2019、2020年度の歩行軌跡データから特徴量のメッシュデータを作成し、時間帯ごとのデータ集合を作成し、各時間帯の利用状態を主成分分析とクラスタリングによってタイプ分類した。なお、特徴量は平均速度、平均人数、平均的な進行方向である。結果として16種類の利用状態のタイプが定義された。 「小」スケールでは、クイーンモールを対象に、個々の歩行者の滞留や歩行の状態を歩行速度、およびその標準偏差で分類する手法、その時間分解能について検討した。また、熱的快適性の指標である標準新有効温度(SET*)に、歩行者の歩行速度や滞在時間、滞在密度による重みを乗じることで、温熱環境改善が必要な場所を抽出し、対策へとつなげる方法を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度内に横浜みなとみらい21地区のヨーヨー広場で人が滞留する場づくりの社会実験を行うことを予定していたが、コロナウィルスの感染拡大により延期となった。そのため、社会実験によるデータ収集と解析を次年度に持ち越すことになり、やや進捗が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
共同研究者それぞれの視点からの人流解析については、ほぼ当初の目標を達成しつつある。「大」「中」「小」スケールで都市エリアの人流を把握・分析する方法とそのアプローチについて、本研究で一定の整理ができたことから、今後、共同研究者間の連携、「サイバー空間」の環境データの充実と人流に関する研究の知見を積み上げて、エビデンスベースのまちづくりの実践研究につなげたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度内に横浜みなとみらい21地区のヨーヨー広場で人が滞留する場づくりの社会実験を行うことを予定していたが、コロナウィルスの感染拡大により延期となった。そのため、社会実験によるデータ収集と解析を次年度に持ち越すことになり、そのための費用を繰り越し、2021年度に執行する予定である。
|