研究課題/領域番号 |
19K22013
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
日野 孝則 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60373429)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 船舶流体力学 / 省エネルギーデバイス / CFD / 境界層 |
研究実績の概要 |
模型試験によって実船における省エネデバイスの性能評価を可能にする新たな試験法を開発する。模型船と実船の船尾の境界層厚さを船長で無次元化して比較すると、レイノルズ数の違いにより、模型船の境界層厚さの方が数倍大きい。そのため、模型船に省エネデバイスを装着する際に、幾何的に相似なデバイスを用いると境界層に対する相似則を満たさず、流れを制御する効果が著しく弱くなる。そこで、船尾部だけを再現した部分模型を考え、この模型の船尾における境界層厚さと仮想的な模型船全長の比が実船の場合と同じになり、かつ船尾の形状が実船と相似となるように設計する。これにより、省エネデバイスの形状は実船の形状を仮想模型長さに合わせて幾何的に縮小すれば、実船と同様な粘性影響を再現することができる。このコンセプトの有効性を検証するため、以下の検討をおこなった。 1) 境界層再現の検証:船尾形状を再現した部分模型の境界層の厚さが実船の境界層厚さと相似になることを検証するために、実船、模型船、部分模型のそれぞれについてCFD解析を行った。境界層の性状を相互に比較した結果、部分模型の船尾部分の境界層厚さは概ね実船の境界層厚さと相似になることが確認された。これにより、本コンセプトの根幹概念が実証された。 3)省エネデバイス性能評価法の検討:実船、全体模型、部分模型のそれぞれについて省エネデバイスとして、伴流改良フィンを装着してCFD計算を行い、部分模型におけるフィンの効果が実船のそれと同様であることを確認した。一方、全体模型では実船に比べて境界層が厚いためフィンの効果が弱くなっており、本研究で提案する部分模型による性能推定が有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
境界層相似模型により、模型実験において実船の境界層厚さを再現できることが示され、さらに省エネルギーフィンの効果についても実船の流れと類似の流れを得ることができた。本コンセプトの基本概念の妥当性が確認されたので、今後の研究遂行についても計画通りに進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な概念は確立したので、プロペラ効果の検証や、各種省エネデバイスへの適用などを検討する。そのために、自航状態での性能解析法の開発や境界層相似模型の船首部分の設計法の開発を行う。
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