研究課題
本研究では、近年一般にも普及が進んでいる3Dモデル作成ソフトウェアを使うことで、衛星及び地上の複数の観測点から雲撮像を行い、それらから雲の高解像度3Dモデルを連続的に提供する手法の確立を目的とする。稼働している申請者グループが独自開発した超小型衛星を用い、対象物に視野方向を固定したまま数秒以内に複数回撮像するターゲットポインティング撮像を実施することで、雲上面の立体構造の高精度計測を試みた。衛星から上・中部を、また地上から主に雲の側面・下部を同時観測し、これらのデータを接続することで、これまでに類をみない雲全体の精密測定を目指している。2020年度は8月と9月に観測キャンペーンを実施し、衛星および地上からの雲のステレオ撮像観測を行い、それぞれの画像から、上部及び側面・下部の3D構造を推定した。ただし、衛星と地上「同時」観測については、撮像運用そのものには成功したものの、COVID-19の影響で衛星運用、地上観測ともその機会が著しく限定されたため、解析に適した積乱雲を捉えることができなかった。3Dモデル作成については、2020年度及び過去に取得された衛星、航空機、地上での観測で得られたデータもあわせて行い、台風の目の内部や積乱雲について、これまでにない高精度での雲構造推定に世界で初めて成功した。また、地上からの人海戦術による手作業でのステレオ撮像経験に基づき、5台のカメラを同期させて運用する全自動の撮影システムを開発し、その試験運用を実施し、実用性能を確認した。以上より、COVID-19の影響で当初の目的であった衛星地上間の同時観測による雲の3D構造推定には至らなかったものの、衛星、航空機、地上から個々に雲構造を推定する観測解析手法を確立し、また地上での自動観測システムの開発を完了することができた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Scientific Reports
巻: 10 ページ: 7570
10.1038/s41598-020-64274-z