研究課題/領域番号 |
19K22024
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 雄二 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50344859)
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研究分担者 |
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40431663)
牧本 直樹 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (90242263)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 気象予測誤差 / デリバティブ / 電力市場 / 市場取引 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究は,気象条件によって出力が変動する再生可能エネルギー電力を,円滑に電力市場で取引するための新たな損失リスクマネジメントツールとして,気象予測誤差デリバティブを活用する市場設計の枠組みと汎用化可能性を検証するものである.本年度は,基礎と研究の土台を構築することを念頭に,1. 気象予測を考慮した理論先物価格モデル検討と実績先物価格との比較,2. 太陽光発電における発電量(ボリューム)と卸電力価格の変動を同時にヘッジする予測誤差デリバティブの検証,3. P2P電力市場への拡張を含む新たな研究テーマの模索と新規研究課題の申請を行った.さらに,市場取引とデータ活用に関する国際ワークショップを開催し,結果の普及活動を行うとともに今後の課題について理解を深めた. 1については,従来のスポット価格予測に基づく先物価格モデルに,気象庁が提供する気象予測値および先行指標である原油価格を導入し,拡張を行った.また,理論先物価格を実績電力先物価格と比較し,市場がインプライするリスクプレミアムを推定した.これらの結果に基づき,現在,予測誤差デリバティブモデルの構築について検討を行っている. 2については,日射量予測誤差を原資産とするデリバティブと気温予測誤差の絶対値に基づくデリバティブを用いたクロスヘッジの手法について,特に気温予測誤差デリバティブに対して市場流動性を持たせることを考慮した.さらに,インバランス価格の予測性について検討し,卸電力市場のインバランス清算の合理性について検証した. 3については,当該研究における予測誤差デリバティブの概念をP2P電力市場取引に活用することをベースとなるアイデアの一部として研究構想をたて,「再生可能エネルギー電力P2P取引支援のためのリスクマネジメントシステム構築」という表題で新規研究課題の申請を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーションに関しては検討段階であるが,基礎となるモデルの構築については順調に研究が進んでおり,研究目的については,②おおむね順調に進展している,といえる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で提案するヘッジモデルや予測誤差デリバティブの標準化においては,予測モデルの精緻化と適用する回帰モデルの拡張が当面の課題である.この課題に対し,現時点では,先物価格モデルにおけるファンダメンタルパラメータの考慮とデリバティブモデルへの拡張,小売事業者・発電事業者のヘッジモデル,インバランス価格の予測とヘッジの観点でモデルの構築を行っている.市場取引シミュレーションについては,気象予測誤差デリバティブの有無が取引戦略に与える影響について考察を行う.さらに,結果の普及のため,国内外での発表を積極的に行う予定であるが,今年度は特に,オンラインでのワークショップ開催などを検討し,研究内容をさらに発展させていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究テーマに関する需要推定のための最適化について、シンガポール国立大学Andrew Lim教授との研究打ち合わせのため、3月に海外出張を予定していたが、新型コロナ感染症拡大に伴う渡航制限のため、渡航を見合わせたことにより次年度使用額が生じた。年度内に渡航可能になれば、再度、渡航を検討する予定であるが、引き続き制限が継続するようであれば、オンラインのワークショップやそのための環境整備に使用する.
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