研究課題/領域番号 |
19K22027
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
鎌塚 優子 静岡大学, 教育学部, 教授 (80616540)
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研究分担者 |
村越 真 静岡大学, 教育学部, 教授 (30210032)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 学校事故 / 危機管理 / 養護教諭 |
研究実績の概要 |
1年目には、小中学校において重大事故件数が最も多い教育活動場面である体育的活動を対象としてその事故リスクの定性的評価を試みるために、各体育的活動中の事故について、日本スポ-ツ振興センタ-のデ-タをもとに分析を行った。具体的には学校における事故件数・概況データ独立行政法人日本スポーツ振興センターが公表している「学校の管理下の災害」及び「学校事故事例データベース」について使用許諾を確認した上で利用した。分析は継続中であるが、児童生徒の事故時の行動の分類が場面や活動によって異なるなどの結果が示唆されており、引き続き分析を行う。 また、場面別の発生率の増加や減少の傾向を比較し、共通あるいは特有の要因を考察することでどのような要因が事故発生に影響しているか手がかりが得られる可能性があると考え、これまで行われてこなかった各教科中や休憩時間など活動場面別に年次的推移の分析についても着目した。具体的には、日本スポ-ツ振興センターが公開している「学校の管理下の災害」による基本統計について、活動場面の区分が最新版と同じである過去9年分(平成22年度~平成30年度)のデ-タのうち、小学校のデ-タを用いて各場面別の事故発生率を算出し、その年次的傾向の分析を試みた。その結果、小学校における最近の事故発生状況の年次的推移の基本的な傾向および「道徳」の活動場面における事故発生状況において、他場面と比較して特徴的な傾向か見られた。 さらに、研究の基礎資料を得るために、小学校中学校の養護教諭5名にグル-プインタビュ-及び500名の養護教諭に自記式質問紙調査をを行い、「養護教諭の視点から、どのような環境下において事故が発生しやすいか、そのためにどのようなことに留意しているか」について調査を行った。その結果、養護教諭特有の視点や観点がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1については、1年目には、小中学校において重大事故件数が最も多い教育活動場面である体育的活動を対象としてその事故リスクの定性的評価を試みるために、各体育的活動中の事故について、日本スポ-ツ振興センタ-のデ-タをもとに分析を行った。さらに同デ-タをもとに、これまで行われてこなかった各教科中や休憩時間など活動場面別に年次的推移についても着目し、「学校の管理下の災害」のうち、小学校のデータを用いて各場面別の事故発生率を算出し、その年次的傾向の分析を試みた。また、研究の基礎資料を得るために、小学校中学校の養護教諭5名にグル-プインタビュ-及び500名の養護教諭に自記式質問紙調査をを行い、「養護教諭の視点から、どのような環境下において事故が発生しやすいか、そのためにどのようなことに留意しているか」について調査を行ったうなど概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目には研究2として,分析から得られた事故実態とその要因についての仮説を具体的に検討することと, それらに計上されない軽微な事故等を踏まえて分析することを目的に,学校に事故実態の調査を依頼する。調査の内容は大きく二つであり,第一に,重大事故が報告されている体育的活動の区分(日本スポーツ振興センター,2019)を基に,児童生徒がそれらの活動場面にどの程度の時間参加しているかを調査し,その時間比を推定する。リスクへの暴露時間に対する事故発生率を評価することで,学校事故を活動別に定量的に評価することを試みる。第二に,児童生徒の特性を調査し,どのような個人的要因が事故発生に影響があるのかその関連を検討する。具体的な方法として,10校程度の小中学校に調査協力を依頼し,教員に対して授業中における活動状況,および児童生徒に対して休み時間といった教員の管理度が低い場面における活動状況,そして児童生徒自身の特性を尺度項目によって調査する。そのために,協力校に対して各校保健室にタブレットPCを配布し,事故の概況を簡便に記録できるような専用ソフトウェアによって個人を特定しない形での来室時の活動場面・症状・手当内容・概況等の記録,また将来の実務利用のために集計ソフトの評価を依頼する。得られたデータを基に,次の指標を活動場面における事故形態別に算出する。発生頻度=事故総数÷参加延べ時間、重大性=通院しない事故:低度通院を要する事故:通院日数に応じて中度~高度。これらの指標を基に,活動別の事故をリスク地図として学校の体育的活動の事故リスクを整理する。これらの結果から学校事故のリスクを定量的に評価し,児童生徒の個人的要因を特定することで,事故発生を予測することを試みる。また、養護教諭が捉える危機管理に関する調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大により2月~3月にかけての調査に関わる費用が先送りとなった。今年度は、協力校へ配布するタブレットなど機器に関わる費用が必要となる。
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